ワルツ王、ヨハン・シュトラウス2世の代表作『ウィーンの森の物語』の魅力【クラシック今日は何の日?】
クラシックソムリエが語る「名曲物語365」
難しいイメージのあるクラシック音楽も、作品に秘められた思いやエピソードを知ればぐっと身近な存在に。人生を豊かに彩る音楽の世界を、クラシックソムリエの田中 泰さんが案内します。
ヨハン・シュトラウス2世 ワルツ『ウィーンの森の物語』 ウィーンの街のシンボルとなった名曲とは
今日6月19日は、ヨハン・シュトラウス2世(1825~99)のワルツ『ウィーンの森の物語』の初演日です。 1868年に作曲されたこの作品は、ワルツ王ヨハン・シュトラウス2世の代表作。毎年1月1日に、ウィーンのムジークフェライン・ザールで行われる「ウィーン・フィルのニューイヤー・コンサート」でもしばしば演奏される人気曲です。 ウィーンの街を囲む自然の美しさが描かれたこの音楽は、街のシンボルとして、今もウィーンの人々に愛され続けています。ところが、シュトラウス2世自身は根っからの都会人で、田舎や自然が苦手だったという逸話も残っているのですから面白いものです。 今やウィーンを象徴する楽器のひとつとして知られるツィターが使用されているのもこの作品の特徴です。当時は、南ドイツやオーストリア地域の民族楽器のひとつにすぎなかったツィターをいち早く取り入れるあたりにも、シュトラウス2世のセンスの良さが感じられます。 初演は1868年6月19日。ウィーンのフォルクスガーデンでの「プロムナードコンサート」において、シュトラウス2世自身の指揮で行われています。
田中 泰/Yasushi Tanaka
一般財団法人日本クラシックソムリエ協会代表理事。ラジオや飛行機の機内チャンネルのほか、さまざまなメディアでの執筆や講演を通してクラシック音楽の魅力を発信している。
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