「子どもの話を聴く」のは意外と難しい? 保護者にできることは?【子どものウェルビーイングを考える】
考えや意見が違うからこそ、対話が必要
平岩氏 子どもの自己肯定感を高めるためには、どのようなことが大切でしょうか。 豊泉氏 私の原体験ですが、小学生の時、担任の先生から「はきはきと挨拶(あいさつ)をする」「伸び伸びとした字を書く」とほめられて大きな自信になりました。勉強とは別のことをほめられたのがうれしく、今も覚えているほど心の支えになっています。そのように、子どものよさを上手に見つけて伝えることが大事だと思います。 石川氏 自分に似ている人がいきいきとしている姿を見ると、「自分にもできそう」と自信が高まりますよね。家庭や学校のほかにも居場所があると、自分と似た人を見つけやすく、結果的に自己肯定感が高まりそうです。 平岩氏 保護者が楽しそうに過ごす姿を見せることも大切ですね。では、保護者や学校の先生など、大人同士の考え方が合わない場合の対処法については、どう思われますか? 豊泉氏 平岩さんのアフタースクールでは、子どもが話し合ってルールを決めていますよね。これは大切な平和教育だと思います。考えや意見が違うからこそ対話が必要であることを、大人も改めて学ぶべきではないでしょうか。 石川氏 日本では、意見が異なっても、あいまいなまま終わらせる文化があるように感じます。でも、それは一概に悪いとは言えず、無理に結論を出さずに脇に置いておくという考え方があってもよいのかなと思います。 平岩氏 確かに、少し時間を置くと解決方法が見つかる場合もありますよね。ただ、結論は出さないとしても話し合うことは大事だと思います。特に家庭では、家族の価値観などを言語化する努力をすると、わかり合える機会をより増やすことができるのではないでしょうか。 (以上) ※1 出典:OCED PISA 2022より ※2 出典:内閣府「国民生活に関する世論調査」より
プロフィール 石川 善樹 公益財団法人Well-being for Planet Earth代表理事 専門分野は、予防医学、行動科学、計算創造学、概念進化論など。 「人がよく生きる(Good Life)とは何か」をテーマとして研究。