「子どもの話を聴く」のは意外と難しい? 保護者にできることは?【子どものウェルビーイングを考える】
「声を聴く=言いなりになる」ではない
石川氏の話を受けて、子どもの居場所づくりに取り組む平岩国泰氏(放課後NPOアフタースクール代表理事)が、「子どもの声を聴く」ことの大切さとその方法について、実践を交えて語りました。 [ 平岩氏の話(要約)] 私が運営するアフタースクールでは、当初、子ども同士のトラブルがよくありました。その状況を変えるため、「子どもの声を聴く」ことを方針に掲げ、取り組みを進めました。 ただし、「子どもの声を聴く」といっても、それは「子どもの言いなりになる」ということではありません。「子どもと大人でともにつくる」ことが重要なのです。 具体的には、ルールづくりを子どもたち自身で行ったり、季節ごとのイベントの企画や運営を子どもに委ねたりといった工夫です。その中で、大人は伴走者役に徹して関わるようにしました。 すると、次第に子どもは自分から意見を言うようになり、子どもと大人のスタッフが一緒につくるスクールへと変化。子どもは自分の声を聞いてもらえることで自己肯定感が高まり、友達の声を大切にする光景もよく見られるようになりました。 この事例からは、次の画像のようなことがいえるでしょう。決して難しいことではなく、まずはライトなことから始めてみるのがよいかもしれません。
話を直接聴くことにこだわらなくてもよい
「子どもの声を聴く」際には、どんなことを心がければよいのでしょうか。参加者からの質問に答える形で、石川氏、平岩氏、豊泉桂子氏(ベネッセウェルビーイングLab 所長)がさらに意見を交わしました。 平岩氏 「子どもの声を聴く」といっても、幼児や小学生は言語化がまだ十分にできませんし、中学生・高校生は思春期や反抗期を迎えて、大人とあまり話したがらない子もいると思います。保護者はどうするのがよいでしょうか? 豊泉氏 スキンシップは、「子どもの声を聴く」ために効果的な方法だと思います。大人は子どもを抱き締めた時の反応で子どもの気持ちを感じ取れますし、子どもは自分の体の動きで気持ちを表現できます。年齢的に抱き締めることに抵抗があるなら、手を握ったり、体をくっつけて寄り添ったりするだけでも、気持ちを感じ取れるのではないでしょうか。 もし子ども自身が思いを言葉にするのが難しいのであれば、「今の気持ちは何色?」と聞いてみるなど、非言語の表現方法を試してみるのもよいと思います。 石川氏 直接話すことにこだわらず、間接的に声を聴くことも有効です。子どもは自分の居心地がよい場所で本音を語りやすいので、子どもを見守る先生やスタッフから間接的に子どもの思いを聴くことができます。なかには、二度と会わない人が集まる一回限りの場のほうが、本音を言いやすい子どももいます。声を聴けそうな場を、さまざまに探してみるとよいでしょう。