【毎日書評】うまくいく人は「インサイト=人を動かす隠れたホンネ」をみつけて活用している
インサイトとは、「人を動かす隠れたホンネ」
「心を動かすツボ」や「顧客自身も気づいていない隠れた本音や動機」など、「インサイト」ということばにはさまざまな定義があり、解釈もまた人それぞれ。その点を踏まえたうえで、本書ではインサイトとは「人を動かす隠れたホンネ」であると定義しています。 「隠れたホンネ」という部分が大切なのは、「人は自分のホンネに気づいていないことも多い」ものだから。そのホンネとは、いいかえれば「ことばにして明確に自覚できてはいなかった自分の本当の気持ち」だということです。 “隠れたホンネ”は自分でも気づいていないことがあります。それを精緻に言語化することで、相手に「自分がほしいいものはこれだったんだ」「これが自分が大事にしたいことだったんだ」と感じてもらえれば、相手の心を動かすことができます。(35ページより) つまり、こうしたインサイトの見つけ方を知り、仕事や暮らしに役立てていくことを本書は目指しているわけです。(33ページより)
「隠れたホンネ」だからこそ「人を動かす」
そして、その「ホンネ」が真に迫ったものであるなら、それは“人の心や体を動かしてしまう”のだということ。そのことを示すために、ここではいくつかの具体例が示されています。確認してみましょう。 つらい状況を言い当てられて涙が出る 大変な状況でも弱音を吐かずにがんばり続けていたとき、ふと人から「あのときは、つらかったよね。大変だったね」とことばをかけられ、涙があふれ出てしまった。 そのような経験のある人もいらっしゃるのではないでしょうか。 それはもしかしたら、自分の本当の気持ちを自覚する余裕がなかったり、正面から見ようとしないでいたときなどに、突然、自分の「隠れたホンネ」をいい当てられたからなのかもしれません。そのため、心と体が反応してしまったのではないかと考えることができるわけです。 見たくない自分の内面を言い当てられてイラッとする うまくいかなかったことについて「努力が足りなかったんじゃないの?」などと突っ込まれ、思わず「そんなことないよ!」と強く反論してしまうようなこともあるでしょう。それは、自分の心のなかにも「もしかしたら、もう少し努力できていたかもしれない」という気持ちがあったからなのかも。 しかし、それは自分では気づきたくなかった「隠れたホンネ」だからこそ、咄嗟に感情的になってしまうと考えられるのです。別の角度から見れば、自分では自覚できていない「コンプレックス」に近いものかもしれないと著者は指摘しています。 こうしたことからもわかるように、「隠れたホンネ」と人の行動は密接に結びついているということです。(36ページより)