岸田首相「国賓訪米」での皮肉な演出が広げた波紋 公式夕食会で「YOASOBI」に興じ、“卒業”は秋?
■「中国批判」に議員が総立ちで拍手したが… その一方で、いまアメリカ側が大きな関心を持っている、軍事や経済、先端技術などでの中国との競争について、岸田首相は「中国の姿勢や軍事動向は、国際社会全体の平和と安定にとって、これまでにない最大の挑戦をもたらしている」などと訴え、これも議会内が総立ちで拍手した。 ただ、こうした岸田首相の一連の“訪米パフォーマンス”については「今回の首脳会談は『日米同盟の深化』の掛け声の下、軍事的な一体化が推し進められた。日本周辺での有事発生の際には、在日米軍ではなく、自衛隊が主体的に役割を果たすことを世界に発信した格好だが、国内論議も十分でないだけに、厳しい批判を招く」(政治ジャーナリスト)との指摘も少なくない。事実、16日には国会審議で野党側が厳しい追及を展開した。
今後の国会日程をみると、18日に衆院、19日に参院の本会議で、今回の訪米報告とそれに対する質疑が行われるが、岸田首相が防戦に大わらわとなる場面も想定される。さらに、来週の22日に衆院、24日に参院の予算委で「政治と金」に関する集中審議が予定されている。 そのうえで迎える4.28トリプル補選が“自民全敗”となれば、「岸田首相の求心力はズタズタになるのは確実」(自民幹部)との見方が支配的。にもかかわらず、岸田首相周辺からは「すべて想定内で、岸田首相は会期末解散に突き進む考えは変えていない」(岸田派幹部)との強気の声が漏れてくるだけに、与党内には「連休前後は何が起こるかわからない」(公明党幹部)との不安が広がるばかりだ。
泉 宏 :政治ジャーナリスト