ご当地デリカ(惣菜弁当)100選 「宮城魂はゆずれません!」ウジエスーパー珠玉のソウルフード
その土地の隠れ名物はご当地スーパーのデリカ(惣菜・弁当)にある。今回は宮城県北部の風土に育まれたご当地デリカをご紹介!
「塩味の先味と甘味の後味」を追求!
「ウジエスーパー」は宮城県北部・登米市を拠点に31店舗を展開するローカルスーパー。2013年に惣菜製造会社「ウジエデリカ」を設立以来、(1)自社だけの味作り(2)地元志向の調味(3)地産地消の推進を掲げ、地域に根差す商品開発を推進している。総売上げの惣菜比率は店別12~13%、惣菜の自社製造比率は約30%。近年は「ウジエの惣菜」から「惣菜のウジエ」と改めるほど人気を高めている。その決め手は県北独特と評される濃厚風味。とりわけ「塩味の先味と甘味の後味」という尖った味作りがウジエスーパーの真骨頂だ。看板商品、売れ筋、推しの逸品を紹介する。
看板商品「伊達なはらこ飯」 食文化を守る看板商品に君臨
約30年前から看板商品に君臨する「伊達なはらこ飯」は、宮城名物・はらこ飯を専門店レベルにまで研さんした逸品。平時の全店日販(31店舗)は約600食だが、8月から10月末のシーズン中は約1,000食、盆と彼岸の帰省時やセールの繁忙時は2,000食に達する人気ぶり。味作りの決め手は、鮭(アラ)の炊き汁と独自の魚介エキスを配合した濃厚な炊き込みご飯。ご飯にしっかり風味を絡ませ、地元に根付く「塩味の先味と甘味の後味」を忠実に再現している。 さらに銀鮭の存在感も際立つ。切り身に特製ダレを絡めコンベクションオーブンで焼成。ふっくらジューシーな身質、パンチのある風味、パリッとした皮目の食感、その3つのバランスこそウジエイズムの集大成だと誇る。家庭から郷土料理が消えつつある中、ウジエのはらこ飯は地元の食文化を守る最後の砦。一方、帰省者はウジエのはらこ飯を食べて故郷の伝統を懐古する。スーパーの惣菜は、そのスーパーの地元愛を示すバロメーター。まさに手本ともいうべき好例だ。
新名物「仙台グルメ麻婆焼きそば」 弱気を強気に変え真の仙台グルメに
仙台ご当地グルメ「麻婆焼きそば」を2021年に商品化。「お弁当・お惣菜大賞2024」(全国スーパーマーケット協会主催)で最優秀賞を受賞し一躍名物に台頭した。全店日販(31店舗)は約1,500食、繁忙時は約3,000食、受賞直後のセール時は6,000食を突破した。人気の決め手は花椒(中国山椒)を利かせた激辛味。脱万人・アダルト特化の刺激的な味作りで熱狂的な信者を獲得した。一方、この大ヒットには地元民の微妙な心理も絡んでいるという。実は麻婆焼きそばが仙台グルメと認知されたのは近年のこと。地元では未経験者が圧倒的に多く、ちまたでは「得体の知れない料理に1,000円(相場)を払う勇気があるか?」という疑念が渦巻いていた。そんなモヤモヤ感を吹き飛ばしたのがウジエの本品だ。ワンコイン価格で「失敗したくない」という弱気を打ち消し、「失敗してもいいや」という強気を喚起。地元の悩みを購買意欲にすり替えた。本品の普及により麻婆焼きそばは、地元が誇る真の仙台ご当地グルメに昇華したのである。