リピーター続出!アウトドアシーンの救世主、Foxfireの「着る防虫」シリーズ
ー「スコーロン®」の特筆すべき点はどこにありますか。 これまでは「パディング(ドブ漬け)」といって薬剤に生地を漬け込む作業を行っていました。それに対して、昨年からは「ドットオン」という加工法を取り入れています。こちらは洋服のプリントの技術を応用したもので、薬剤を生地の表面だけに載せることができます。 最大のメリットは、生地の全面をコーティングするわけではないので、柔らかい質感を保つことができることです。また、加工の際に使用する水の量も圧倒的に少なく、環境に対する負荷も低いのが特徴です。 ドット状にしたことで、その隙間から刺されるのではないかと心配の声もいただきますが、しっかりと検証をし、適した薬剤の濃度やドットの大きさを研究しているので、従来品とまったく変わらない防虫効果が得られます。 ー「ドットオン」の開発には、どのような背景があったのでしょうか。 従来の「パディング(ドブ漬け)」した生地の取り扱いが、非常に難しいのです。生地に薬剤を染み込ませただけと思われるかもしれませんが、生地に対して想像以上にいろいろな影響がありました。 ひとつには、薬剤を吸うことで生地が硬くなってしまったり、色の保持性が格段に落ちたりします。たとえば、生地を畳んで置いておくだけで折り目が白く浮き出たり、ほかの衣類に色移りしたりすることも。開発段階では問題なくても、時間が経つごとに変化が目立つようになり、頭を悩ませました。縫製に関しても、技術が必要で生産数が減ってしまったりしたのです。 帝人フロンティアさんと二人三脚で新しい技術を開発するのですが、毎度のように新しいドラマが生まれていましたね。ここに来るまで、10年はかかったと思います。
2023年にはグッドデザイン・ベスト100を受賞
ー注力しているアイテムがあれば教えてください。 今年のイチオシは「SCアルティメットフーディ」です。目出し帽のようなフードが付いていて、肩から肘にかけてはアクティブな動きに耐えられるように生地を2重にしています。胸や腰のポケットはファスナー付きで小物が落ちないように設計され、サムホールによって手の甲までしっかりと守ることができます。 こちらは2023年のグッドデザイン・ベスト100を受賞しました。先ほどの機能性に加えて、売り上げの一部を日本赤十字社に寄付し、ルワンダで活動されているボランティアの皆さんに商品をお渡しして着用していただいてることも評価されたと思っています。 新しい技術の「ドットオン」も、今年から多くの商品で採用し、接触冷感の機能もプラスしているので、真夏でも快適に着用いただける素材になっているはずです。