【セックスレス】産婦人科医に聞く、日本におけるセックスレスの実情は? 解決策や性機能外来についても調査!
2. セックスレスのきっかけとなりやすい産後。【産後レス】を防ぐために取り入れたいこと
編:読者アンケートでは「妊娠・出産がレスのきっかけになった」という声も目立ちました。 大:「妊娠中はセックスを控えたい」という方は一定数いらっしゃいます。また産後は、出産時の会陰切開の痛みが残っていたり、乳汁分泌ホルモン(プロラクチン)がテストステロン分泌を抑えることで授乳中は性欲が低下していたり、慣れない育児・睡眠不足などで疲れてしまい『セックスどころではない』という人もいます。男性にも授乳中の妻を見て性欲が低下するというケースなどがあります。 心と身体は密接につながっており、不安やストレスが大きいとセックスレスにつながります。出産を機にカップルでセックスしなくなってしまう【産後レス】を防ぎたければ、産褥期(さんじょくき)・授乳期に女性に無理をさせないようにする。女性は心身の回復に努め、パートナーが家事や育児に積極的に取り組むなど、日常生活で女性をねぎらいサポートしようという姿勢が必要だと思います。また男女の心身の違いについて、“一般にどういうものなのか”という知識を持つこと、互いの思いを伝え合うことが、ギクシャクしがちな時こそ力になるはずです。
3. セックスレス解決策①【挿入障害】は女性の悩みに多い。緊張や恐怖心などから起こりやすい
編:大川先生は長年、婦人科で性機能不全の治療やカウンセリングを行ってきました。どのような相談・悩みが多いですか? 大:私は30年ほど前から性機能不全の治療に関わっていますが、受診する女性のうち8割近くは、痛みへの不安や恐怖から起こる、男性器を受け入れられない“挿入障害”です。痛みのほか、不安や緊張から腟けいれんになり挿入そのものができないという相談もあります。 婦人科ということもあり、セックスを楽しみたいというよりは「子どもができないと困る」「セックスができないと自然妊娠できないのでなんとかしたい」という理由で受診される方も多いですね。 編:切実な悩みですね。 大:そうですね。今は不妊治療に通う人も増えていますが、そもそも挿入ができないと内診もできないので、不妊治療も難しくなります。治療を進めるうちに婦人科診察をなんとかできるようになると不妊治療に進んで、セックス・セラピーをやめる人もいます。 編:挿入障害はどのようなことが原因で起こりますか。 大:基本的には心因性の症状です。緊張や恐怖でリラックスできていないために痛みを感じる、または楽しめずセックスレスになる人も。中には触られるのもダメという人もいますが、多くはキスやハグは楽しめるのに挿入だけは痛くて難しい、身体が固まって受け入れられないなどの悩みです。 性の話題はなんとなくタブーと感じていて、親しい友人とさえ性の話をしたことがないという女性は少なくないでしょう。「初めてのセックスは痛いもの」という誤解や刷り込みがあると恐怖心で受け入れらなくなったり、「セックスはいけないことだ」という道徳観が強い場合にも挿入障害につながりやすいです。