チョコレートの原料・カカオの生産者は現地の子どもたち。世界から児童労働を減らすためにできることとは?
商品を手に取って、その背景を知ろうとすることが大事
――児童労働問題は、先進国ではなかなか意識されにくい問題かと思います。 白木:そうですね。世界的に不況といわれる時代ですから、多くの人が自分の生活のことでいっぱいで、国境を越えた問題には意識が及ばないというのが、正直なところなのかもしれません。 ただ、私たちが活動を始めた27年前と比べると、児童労働の問題に触れる機会は増えている気がします。昔は児童労働といっても「何それ?」という声が多かったのですが、少なくともカカオやチョコレートに関連する問題であることは少しずつ認知されるようになってきたかなと感じています。 また、昨今、日本では求人サイトやSNS上などで「闇バイト」といって、高額な報酬と引き換えに違法行為の実行者を募集する求人があり、いつのまにか未成年者が巻き込まれるという事件が多発しています。実はこれも国際条約の定義では「最悪の形態の児童労働(※)」となります。こういった事件も裏で大人が糸を引いているわけです。 実際に、「日本にも児童労働がある」という状況は増えていると思うので、さらに自分ごととして“意識せざるを得ない状況になってきている”のかもしれません。 ※児童労働の中でも、強制労働や人身売買、売春やポルノ、戦争や犯罪行為に子どもが使われることは「最悪の形態の児童労働」と呼ばれ、18歳に満たない子どもは、すぐにそこから保護されなければならないと決まっている ――本記事を読んで児童労働問題の解決に向けて、一歩踏み出したいと考える人もいるかと思います。何かできることはありますか。 白木:まずは、児童労働問題についてもっと知ろうとすることが大切だと思います。いまは先に紹介したさまざまな企業が、児童労働に関する動画やウェブ上のコンテンツなども作成していますから、それらをまず見て、理解を深めていただけるとうれしいです。その上で、1人でも多くの方に知見をシェアしていただきたいなと思います。 とはいえ、難しい社会問題を急に持ち出すのは、ハードルが高いかもしれません。そういうときに、チョコレートを会話の入り口に使ってもらえればと思います。 ガーナの支援につながる「アニダソチョコレート」は、味もパッケージにもこだわった自信作で、プレゼントにもおすすめです。そのおいしさを味わいつつ、伝えるツールとしてもご活用いただけたらうれしいです。
編集後記
幼い頃から大好きで、いまも頻繁に食べるチョコレートの裏側に、つらい現状があることにショックが隠せませんでした。児童労働によって生産されているものにはチョコレート以外にも、紅茶、コットンなどがあります。自分自身が普段利用しているものにも、児童労働によって作られたものがあると思います。 商品の背景を知り、消費者がその背景に価値を見出すことで、児童労働について、ムーブメントを起こしてくれる企業もあるかもしれません。まずは身近な人にチョコレートをきっかけに話してみようと思います。
日本財団ジャーナル編集部