笹生優花の原点は「なんで、できない?」 “一日500球”のジュニア時代
■飛距離以上に重要視したこと
今や世界でも屈指の飛ばし屋と評される笹生は、ジュニアにはまず飛距離アップを考えるのではなく、自分に合ったクラブの振り方、体の動かし方を学ぶことを勧めている。「飛距離は後から付いてくるし、まずは自分を知った方がいい」 笹生が1Wで180ydを飛ばせるようになったのは12歳の頃。当時はロングヒッターとは言えず、飛距離アップを志したのは「中学生(13~15歳)ぐらいになってから。9歳から11歳の頃はあまりそういう意識がなかった」そうだ。
■スイングチェックは“ゴルフ専用カメラ”で 最近は多くのプロゴルファーがツアー会場のドライビングレンジで、自分のスイングをスマートフォンでチェックしている。ただし、アップルから「iPhone」が初めて登場したのは2007年。01年生まれの笹生のジュニア時代は手軽にスイング撮影ができるほど携帯電話のカメラ技術は発達していなかった。 当時スイングチェックに使用したのは“ゴルフ専用”のビデオカメラ。正和さん曰く、「画面(ディスプレイ)に45度の斜め線が記されていて、それでスイング軌道を確認していた」。撮影と確認を都度繰り返し、地道な試行錯誤の末に、体の動きの再現性を高めた。
■ドローか、フェードか。笹生優花も悩んだ
メジャーチャンピオンとして活躍する現在の笹生は、飛距離だけでなく、ショットの多彩さも強みのひとつ。ドロー、フェードを思い通りに操る。その技術は自然と身についたものでなく、意図するように打てず悩んだ時期があった。 フィリピンに渡って間もない小学生時代、正和さんにフェードボールを身につけるよう勧められた。教えの通りに打とうにも、どうにもうまく打てない。「父は『フェードを打てた方がいい』と教えてくれたけれど、自分にとってはドロー軌道のボールを打つほうがナチュラルだった。スイングの意識が“逆”で、あまり理解できなかった部分があった」 ゴルファーにはそれぞれ得意な動き、苦手な動きがある。そう理解し、飲み込んだときに、上達のスタートラインに立てた。