LUUPと交通違反、タイミーと闇バイト、メルカリとさらし行為――“性善説サービス”はいずれ崩壊するのか
“性善説”に基づいて設計されたCtoCサービスは、ここ数年で日本の消費者に大きな影響を与えてきた。 【画像】避難はしご直下のLUUPポートが炎上してから1カ月以上がたつが、このポートは消火栓の前に今も存在し続けている(都内にて筆者撮影) LUUPが展開する電動キックボードシェア、タイミーのようなスポットバイトマッチングサービス、メルカリを始めとするフリマアプリなどは、その代表例である。 これらのサービスは、利用者の自由度を最大限に高め、手軽さや利便性を提供することで人気を博してきた。 しかし、最近ではそれぞれのサービスでトラブルや問題行為が目立ち始め、「性善説モデル」の限界が浮き彫りになっている。 LUUP、タイミー、メルカリ、の3つのサービスが直面している課題を具体的に掘り下げ、性善説サービスが抱える根本的な問題を明らかにしたい。
LUUPの交通違反、プラットフォーム側の違反事例も
LUUPが提供する電動キックボードシェアリングサービスは、都市部での移動手段として注目を集めている。 一方で、利用者の交通ルール違反が社会問題化している。歩道での速度ルールを無視した運転や信号無視などの問題により、安全面でのバッシングが増加しているのだ。 これらのトラブルの多くは、LUUPの自由度の高さと利用者教育の不足によるものである。 電動キックボードは手軽に借りられる一方で、利用規約を十分に理解していないユーザーが多く、結果として交通ルールを無視した利用が横行している。 また、駐輪エリアが限定されているにもかかわらず、それを守らない利用者の存在が問題を悪化させている。 LUUP運営も一定の対策を講じ、利用者への注意喚起を呼びかけているが、そんなLUUP側も消防法に違反するような駐輪スペースの開設を許可しているという落ち度がある。
タイミー「闇バイト」問題と求人審査の限界
手軽に短期バイトを見つけられるプラットフォームとして注目を集めてきたタイミー。 しかしここに来て、一部の案件が「闇バイト」として犯罪行為に利用されている可能性が明るみに出た。特殊詐欺に関与する可能性の高い求人案件が、プラットフォームに掲載されていたのだ。 この問題の根底には、タイミーが性善説に基づいて設計されていることがある。利用者同士の信頼に依存し、求人を事後的に審査する仕組みは一見効率的だ。 しかし、その効果には限界がある。例えば、同社は公開後に求人内容審査をするとともに、利用者からの通報をもとに案件を削除する仕組みがある。 しかし、闇バイトのように個人情報を握られ、それにより脅されて犯罪に手を染めるようなケースでは、問題が発覚した時点で被害が拡大しており、手遅れになるケースも多い。 闇バイトなどの求人側は、事前審査なしという性善説にまんまと付け込み、バレるまでに人員を少しでも確保しようとその抜け穴を利用するわけだ。