LUUPと交通違反、タイミーと闇バイト、メルカリとさらし行為――“性善説サービス”はいずれ崩壊するのか
メルカリで「さらし」が横行
メルカリは日本最大級のフリマアプリとして多くのユーザーに支持されてきた。しかしその成功の裏で、SNSを通じた「さらし文化」が横行する問題が起きている。 特に、商品が届かない、偽物だった、あるいは取引相手の態度が悪いといった理由で、購入者や出品者の個人情報やチャット内容が無断でSNSに公開されるケースが増加している。 このような行為は、取引相手を攻撃するだけでなく、名誉毀損やプライバシー侵害といった法的問題にもつながる可能性がある。それでも利用者がSNSに内容を公開する理由としては、メルカリ運営の不十分な対応もありそうだ。 例えば、通報や問い合わせシステムがあるものの、問題のある投稿やアカウントの削除が遅れることが多く、被害者が救済されないまま終わるケースが少なくない。そこで、「トラブル内容をSNSに公開し、騒ぎになれば運営は対応してくれる」という経験則ができてしまったのではないか。 SNSで拡散されるトラブルの一つ一つは小さなものに見えるかもしれないが、それが積み重なることでサービス全体の信頼性を損ねてしまいかねない。 これらの事例は、スタートアップという一種の免罪符に守られた“性善説モデル”が抱える共通の課題を明らかにしているのではないだろうか。
「性善説サービス」の限界
性善説に基づいたサービスは、その設計思想ゆえに複数の課題を抱えている。 まず、利用者間の信頼関係に依存しすぎており、利用者が誠実であることを前提として運営されている。しかし、全ての利用者が善意を持って行動するわけではない。悪意のある行為がエスカレートすれば、大多数の善意ある利用者がサービスから離れてしまう恐れがある。 さらに、ルールの明確化と教育不足も見過ごせない問題である。 利用者がサービスの仕組みを十分に理解していない場合、意図しない違反行為が発生したり、だまされることがある。運営側がルールを明確化し、それを効果的に周知する努力が求められる。 これらの課題を克服するためには、性善説モデルをそのまま維持するのではなく、技術や規制を用いて補完する必要があるだろう。 例えば、AIやデータ分析を活用した悪質行為の検出を進めることが考えられるが、上記のような性善説サービスの多くはテクノロジー以前に人員リソースで解決できることを怠っている例が少なくないのではないか。 性善説サービスが直面する課題を克服し、持続可能な成長を遂げるためには、運営体制の強化が不可欠である。そのためには、人員への積極的な投資が必要だ。