【ビジネスの極意】ビジネスにおける教育手法「ケースメソッド」とは?|ケーススタディとの違い、実施手順を解説
ビジネスにおける教育手法「ケースメソッド」。似たような言葉に「ケーススタディ」もあります。マネジメント課題解決のためのメディアプラットホーム「識学総研」で、「ケースメソッド」と「ケーススタディ」の差異を知り、人材育成にも活用できる方法を学びましょう。 * * * ビジネススクールでよく用いられる教育手法「ケースメソッド」は、主体的な学びを促進できることから、部下の人材育成にも活用できると考えられています。ケースメソッドを効果的に活用することで、問題解決能力の高い従業員を育成できるようになるでしょう。 本記事では、人事担当者やマネージャー向けに、ケースメソッドについて解説していきます。
ケースメソッドとは?【アクティブラーニング】
ケースメソッドは、受講者が「実際に起こった出来事(ケース)」を読み込んだ後に、分析結果や意思決定の内容を議論する授業形式を指します。 近年、教育現場では、生徒が能動的に学べるように設計された「アクティブラーニング」と呼ばれる授業形式が採用されるようになっています。ケースメソッドも、アクティブラーニングの1つです。 ただし、アクティブラーニングの中でもケースメソッドは、実務能力の育成に特化していることから、ビジネスシーンでの活用に向いていると言えます。 ◆ケーススタディとの違い ケースメソッドに似ている言葉として、ケーススタディが挙げられます。ケーススタディは、論文などの成果物や、実際に起こった事例を研究して、自分の知識として取り込んでいく授業形式を指します。 ケースメソッドとの大きな違いは、受講者の態度です。ケースメソッドは受講者が能動的に学習するのに対して、ケーススタディは受動的な学習だと言えます。 どちらも一長一短ですが、ケースメソッドの方が、実務能力を養いやすいことから、社会人向きだと考えられます。
ケースメソッドの実施手順
ケースメソッドの実施手順は以下の通りです。 1.ケースを選定 2.各個人で予習 3.グループディスカッション 4.クラスディスカッション 5.フィードバック それぞれ詳しく解説していきます。 手順1:ケースを選定 まずはケースを選定します。実在するケースを選定してもいいですが、現実に即しているのであれば、架空のケースでも問題ありません。また、ケースにはファイナンス・人事・経営戦略・商品展開など、様々なジャンルが存在します。 業務内容に近いケースを選ぶのはもちろんのこと、場合によっては、全く関係ないジャンルを選ぶのも有効な手段です。なぜなら、全く違うジャンルから得られるエッセンスが、あとで自社の事業に役立つかもしれないからです。 どちらにせよ、ケースメソッドはあくまでも「人材育成」のために用いられる授業形式なので「自社が求める人材」を育成するのにマッチしたケースを選定するようにしましょう。 手順2:各個人で予習 ケースメソッドでは、授業開始前から複数のケースがまとめられた教材が配布されるのが一般的です。授業(研修)が始まる前に、各個人は教材を読み込んで、具体的な提案を準備する必要があります。 この段階で準備した具体的な提案をベースに議論を進めることになるので、受講者は自分なりの考えをしっかりまとめなければなりません。この過程も、ケースメソッドにおける非常に重要なステップです。 手順3:グループディスカッション 事前に実施された個人研究の内容を元に、各グループで議論を実施します。グループは、一般的に6~8人で構成されるようです。 このグループディスカッションでは、講師はほとんど介入せず、議論の内容を評価項目に加えることもありません。 また、グループディスカッションはあくまでも情報共有の場であり、後述するクラスディスカッションのプレゼン準備期間でないことを、あらかじめ説明しておきます。 まずは受講者全員が自由に発言し、共に教え合う環境として、グループディスカッションを活用した方がいいでしょう。 手順4:クラスディスカッション グループディスカッションが終わった後は、講師主導によるクラスディスカッションが開始されます。講師が受講者に対して問いかけをするので、それに対して受講者が回答するケースです。 ただし、受講者は講師に対してプレゼンするわけではありません。あくまでも、自分の考えを受講者全体に主張する場として活用していきます。 手順5:フィードバック クラスディスカッションが終わったあとは、講師がフィードバックを実施します。ただし、このフィードバックの内容は、ケースメソッドの残り時間や教員次第で異なります。具体的には以下が挙げられます。 ・残り時間で徹底的に討議する ・講師が補足的な講義を実施する ・最終的な解決策を決定する ケースメソッド全体を通して重要なのは「ケースメソッドに答えはない」ということです。ケースメソッドで出てきた個人の意見や最終的な解決策に、正解や不正解はありません。なぜなら、ビジネスの場で、明確な正解はほとんど存在しないためです。 それよりも、1つのケースからどれだけの経験を積めるかが重要だと考えられています。ケースメソッドは、あくまでも意思決定の経験値を積むための実務的な授業に過ぎません。試験を実施しているわけではないので、結果よりもプロセスが求められるのです。