「永田町では今も“裏切り者”」の石破茂新総裁、ネット民ウケはなぜこんなにもいいのか?
自民党の新総裁に、石破茂元幹事長が就任した。まもなく首班指名を受けて、第102代内閣総理大臣に就任する予定だ。 【画像】会見にて、笑顔を見せるゲル長官改め「ゲル総裁」こと石破氏 長年の「冷や飯」イメージからの同情もあって、石破氏に期待する声もある。しかしながら、ネットでは批判的な声も散見される。その一因となっているのは、安倍晋三元首相の長期政権から続く、保守色が薄らぐのではないかとの心配からとみられる。 一方で、ネットメディア編集者として、長年ネット世論を見てきた筆者からすると、ネットユーザーと石破氏の相性は、意外と良いのではないかと考えている。そこで今回は、不人気な側面がある一方で、石破新総裁が持っている「ネットウケ」する要素を考察したい。
■決選投票で「悲願」の逆転勝利 2024年9月27日に開票された自民党総裁選は、1回目の投票で、議員票・党員票どちらも高市早苗経済安保相が優勢だった。決選投票では議員票・都道府県票とも石破氏に軍配が上がり、逆転勝利となった。 石破氏は長年、国民人気は得ていたが、議員からの支持は伸び悩んでいた。5度目の総裁選挑戦で、これを最後と明言して勝ち取った「悲願」となる。ただ一方で、ネットの反応は、必ずしも歓迎ムードとは言えない。
SNS上では、リベラル色の高い新政権になるのではといった危機感や、日本銀行の利上げをめぐるスタンスから、反発を覚えたユーザーも少なくなく、ショックの声が相次いだ。高市氏に期待していたユーザーからも、石破氏への不満が続出。Xでは「石破かよ」なるフレーズがトレンド入りした。 今回の総裁選では、高市氏のSNS人気が、かなり高まっていた。発信力のある「応援団」の存在が、その原動力になったと考えているが、反面、他陣営やその支持者に攻撃的な投稿も多数見られていたのも事実だ。
こうしたユーザーは、決選投票で逆転当選となったことで、石破氏への反感がより高まったのではないか。中には「自民党に失望した」と嘆く声も珍しくない。前総裁の岸田文雄首相が、退任表明会見で「真のドリームチーム」による挙党体制を求めたのと反して、石破氏の就任で離れた自民党支持者もいるようだ。 ■石破氏とネットの親和性 このように、今回の総裁選は、SNS面では「高市氏勝利」とも言える状態だった。しかしながら、これまでの「ネット政治史」を振り返ると、石破氏のほうが、より親和性の高さを感じる。筆者の記憶する限り、ネット上で「適度にイジれる政治家」として位置づけられた、初期の政治家ではないだろうか。