猫のASMRが聴ける話題の“猫イヤホン”徹底レビュー ごろごろモードに感じる「ネコへの深い愛情」
人間には「視覚」や「聴覚」、「味覚」、「嗅覚」、「触覚」という五感の他に、その人の趣味嗜好に合うモノを検知するレーダー的な感覚が備わっている。中でも猫をこよなく愛する人々には「猫レーダー」が備わっているように思う。 【画像】猫イヤホンとたわむれる筆者の愛猫 この猫レーダーはなかなかに強力で、街中に潜むノラや地域猫はもとより、猫の絵やイラストが描かれたグッズ、猫の形をしたものすべて、下手をすると道に落ちているコンビニの袋を猫と誤認してしまうほどの威力がある。かくいう筆者も高性能な猫レーダーを装備しているので、日々いろいろな猫グッズに目が行ってしまう。 今回、そんな筆者の猫レーダーが捉えたのがラディウス(radius)から発売されたワイヤレスイヤホン『NEKO true wireless earphones』だ。本稿では、大のネコ好きライターによる“ネコ愛”たっぷりのレビューをお届けしよう。 ■あふれんばかりの“ネコ愛”を感じるデザイン まずはその姿を見てほしい。外観はシッポを体に沿わせて寝ている猫そのもの。実際の猫の寝姿と比べてみると、一層その出来の良さがわかる。もうこれだけで猫好きの人はノックアウトされてしまうだろう。コロンとした手のひらサイズのオブジェにも見えるが、きちんとした完全ワイヤレスイヤホンなのだ。まるでベッドの上に寝転んでいるような猫の部分がケースのフタになっていて、開けると中にワイヤレスイヤホンが収納されている。 「なんだ、イヤホン本体は猫の形じゃないのか~」という声が聞こえてきそうだが、ケースだけでなくイヤホン部分も猫型だと、筆者のような男性が使うには気恥ずかしさもある。イヤホン部分が普通のデザインだからこそ、誰でも使えるというメリットがある。 ケースの土台部分には魚の形をしたLEDが3つ。これがケースのバッテリー残量を示すインジケーターになっている。こうした部分ひとつ見ても、このイヤホンの世界観を壊さないようにデザインされているのがわかる。 パッケージに関しても同様で、パッと見ただけではイヤホンとは気づかない。雑貨としても完成度が高く、パッケージのまま飾っておきたいほどだ。猫の形をした蓋の部分だけを目立たせるように、ベース部分が隠れるパッケージデザインを採用している。芸が細かい。 なお、付属品は充電ケーブル(USB-C to USB-A)のほかイヤーピース(S、M、L)が各1セットが付属している。 カラーはクロとミックス、シロの3色から選べる。我が家の愛猫のキジトラがないのはちょっと残念だが、それでも全部欲しくなる。「3色だけだと他の人と被ってしまう……」と心配になる方も安心してほしい。なんとイヤホン部分はランダム成形されたマーブル模様を取り入れているので、ひとつとして同じものはない。世界に一つだけ、あなただけのイヤホンになるのだ。……逆に同じ色でもいくつも手に入れてしまいそうで怖い。 ■よくぞ搭載してくれました! 究極の「ごろごろモード」に歓喜 このイヤホンがスゴいのはケースの形やデザインだけではない。なんと電源のオンオフや接続、バッテリー残量の低下などを知らせる音声アナウンスすべてを猫の鳴き声で知らせてくれるのだ。このこだわりから、「とりあえず猫の形にしておけば満足するでしょう……」という安易なコンセプトで作ったのではなく、正真正銘、猫をこよなく愛する人たちが開発したものだと伝わってくる。 中でも筆者が一番気に入ったのがイヤホンのタッチセンサーを5回タップすると切り替わる「ごろごろモード」。なんと3分間、猫が喉を鳴らす「ゴロゴロ」という音がイヤホンから聞こえてくるのだ。普通の人なら「それってイヤホンの性能に何か関係あるの?」と不思議がるだろうが、これは猫好き・猫飼いの人たちなら「よくぞ搭載してくれました!」と大喜び間違いなしの機能なのだ。 猫を飼っている人ならわかるだろうが、必死にノドや背中を撫でてご機嫌をとっても、必ずゴロゴロと喉を鳴らしてくれるとは限らない。その時の猫の気分次第なのだ。そんな時でも、代わりにこのイヤホンがあればゴロゴロと鳴いてくれる。仕事帰りの疲れた心身を労わりたい時や、家に着いて愛猫を抱きしめるまでどうしても待てない時など、いろいろなシーンであなたの心を癒してくれるだろう。 ■イヤホンとしての性能もバッチリ 「VGP 2024 SUMMER」でも高評価 こうした製品ではデザインだけが重視され、肝心のイヤホンとしての性能がおざなりになってしまいがちだが、本製品はそんな心配もない。近年、イヤホンやDAC、アンプなどのオーディオ系のアクセサリを中心に優れた製品を提供しているラディウスならではの視聴体験を提供してくれる。 本製品は国内最大級を誇るオーディオビジュアルアワード「VGP 2024 SUMMER」で、Bluetooth完全ワイヤレスイヤホン(8千円以上1万円未満)/受賞とライフスタイル分科会/企画賞のダブル受賞と評価を受けており、その実力はお墨付きというわけだ。 操作性やスペック面も良好で、イヤホン本体にはタッチセンサーが搭載されているのでタップで各種操作が行えるし、通信方式はバッテリー消費量も少なく安定した接続やより良い品質が特徴のBluetooth 5.3を採用。対応コーデックもSBCに加えiPhoneやiPadなどのアップル製品との互換性が高いAACに対応している。連続再生時間は約3.5時間、充電ケースを併用すれば約17.5時間とスタミナ面も十分だ。 イヤホン部分はIPX4防滴仕様なので、ちょっとした雨や汗などであれば壊れる心配もない。Φ6.1mmのダイナミック型ドライバーが発するクセのない音質は、普段使いのイヤホンとしても最適と言えるだろう。 普段『AirPods Pro』を愛用している筆者としてはノイズキャンセルや外部音取り込み機能がない点が心配だったが、1週間ほど使った限り、音を聴くという点ではなんら問題はなかった。むしろイヤホン部分(左右両方)が約6グラムと、AirPods Proと比べて約半分の重さで軽量なうえに、コンパクトな形状なので装着感が非常に快適だった。 実測したがイヤホン本体は左右で6グラムと仕様通りの超軽量で、ケースを含めても36グラムだった。さらに万が一、イヤホンの片方や充電ケースを紛失してしまっても、手元に残った製品と引き換えに所定の負担額を支払うことで新品のイヤホンと交換してくれる「紛失補償サービス」が用意されているので、安心して使える。 そして何よりも、ケースを愛でたり音声アナウンスで癒されたりと、良いことづくめで既に手放せない存在になっている。 唯一問題があるとすれば、人気ならではの品薄だ。「世界猫の日」にちなんで8月8日に発売を開始したが、すでに初回生産分は完売らしい。次の入荷を待たないと入手できそうにない状態だ。 最後に、本製品の売り上げから1台あたり20円を保護猫活動団体へ寄付するという点も評価したい。単に「猫の形をしていて可愛い」だけじゃない、こうした企業としての姿勢も、猫好き・猫飼いの人たちにしっかり届くはずだ。 ラディウス『NEKO true wireless earphones』はオープン価格だが、実売価格は税込みで8,822円(「パチパチニャンニャン」の語呂合わせになっているとのこと)。猫好き・猫飼いなら絶対手元に置いておきたい一品なのは間違いないはず。迷うことはない、今すぐ気に入ったカラーの子をお迎えしよう。 (文・写真=松山茂)
松山茂