女性ボクサー性別騒動に異論で批判を…英人気女性司会が誹謗中傷の被害に「生まれてくる子どもの殺害予告を何度も受けた」
パリ五輪の巻き起こった女子ボクサーの“性別騒動”。世界的な論争となったニュースの余波はあらぬ方向にも発展しているようだ。 【画像】ドラマ相次ぐパリ五輪の「悲喜こもごも」を厳選フォトでチェック! そもそも今回の騒動において“渦中の身”となったのは、女子66キロ級のイマネ・ケリフ(アルジェリア)と、57キロ級のリン・ユーチン(台湾)のふたりだ。 ケリフとリン・ユーチンは、昨年に国際ボクシング協会(IBA)が世界選手権前に実施した性別適格検査で「XY」染色体が見つかったとして不合格に。これが大会前に明るみになると、五輪出場の是非を巡って批判的な意見が噴出。各界の著名人たちも厳しい意見を寄せる事態に発展した。 もっとも、オリンピックにおけるボクシング競技の統括団体でもあるIOC(国際オリンピック委員会)は2選手の女子選手としての出場資格に関して、パスポート上が女性である点を強調しながら、疑いの余地はないと断言。“御大”のトーマス・バッハ会長も「人々は女性としての定義を自分自身で持ちたがっているようだが、これは科学的な根拠に基づいたもの」と公言している。 問題がないと断定されてもなお事態の収拾はつかず……。最終的にケリフとリン・ユーチンが揃って金メダルを獲得した影響もあり、SNSやメディアを通じた論争は続いている。 そうした中で、2選手の参加に異を唱えた側も誹謗中傷を受ける騒動が明るみになった。英衛星放送『Sky Sports』などの中継番組でホストを務める人気女性司会者のローラ・ウッズさんが、「私自身と生まれてくる子どもに対する殺害予告を何度も受けた」と自身のXで訴えたのである。 ウッズさんはケリフとリン・ユーチンの参戦に否定的な立場だった。大会後にもケリフの五輪参戦を否定的に論じ、IOCも糾弾した英紙『The Telegraph』の特集記事を「素晴らしいと思う」とX上で拡散。すると、この投稿にして悪質な返信が相次いだという。 「私自身の性別に関する質問(私は妊娠しているので、これではっきりしたと思う)、雇用主に私を解雇するように迫る電話や、私の家への脅迫もあった。人種差別主義者や性差別主義者と罵られ、さまざまな汚い言葉で侮辱も受けている。なによりも公平であるべき(五輪という)環境にあって、他の人間の安全に影響を及ぼしかねない検査結果に矛盾があったのです。疑問が生じるのは当然でしょう」 ボクシング界のみならず、スポーツ界におけるジェンダー問題を浮き彫りにした今回の騒動。その議論が尽きることはあるのだろうか。 [文/構成:ココカラネクスト編集部]