学校給食に「量が少なくて質素」と不満の声、完食指導にも変化 変わる令和の教育現場
叱られないけれど、付き添われて昼休みも食べ続ける児童
給食をめぐっては、時代とともに「残す」ことに対するとらえ方も変わってきているといいます。昔は、給食は「残さず食べる」のが鉄則でした。苦手なものがあっても、食が細くて食べ切れなくても、給食を残すと叱られて無理にでも完食する指導を受けた人も多いでしょう。 小学3年生の子を持つ高橋さん(30代/仮名)は、子どもが偏食ぎみで、給食を残してしまうこともあるそうです。 「先生から叱られることはありませんが、苦手なものを残してしまうと先生に付き添われながら、昼休みも使って食べているようです。お友達が遊ぶなか、自分だけが残って給食を食べる状況に、子どもながら抵抗感を覚えているようで……」 家庭では、味付けなどで好き嫌いを克服するための工夫をし、家で食べられるようになったものもあるようです。一緒に付き添ってくれる先生には感謝しつつも、「家でもしっかりごはんは食べているし、給食は食べられる範囲でいいから、完食させようとするのはやめてほしい」と高橋さんは訴えます。
子どもが自発的に食べられるような工夫を
給食の完食指導が、大勢の前で食事をするのが苦手になる完食恐怖症につながるおそれもあります。実際の教育現場では、どのようなことに気をつけているのでしょうか。公立小学校の教員歴8年という田中先生(30代/仮名)に聞きました。 「指導は各学校や先生によってさまざまですが、今は給食を残すと叱られることはないと思います。私自身は、子どもたちになるべく残さないように声がけはしますが、無理をさせずに残させています。大切なことは、完食する指導をすることではありません。完食できなくてもいいと安心感を与えて、教師自身が一緒においしそうに食べたり、給食に出てくる食材の栄養について伝えたりして、子どもが自発的に食べられるよう促すことだと思います」 そうしていくうちに、「いつの間にか完食していたというのが理想」だと話す田中先生。保護者や先生が、子どもたちに好き嫌いなく残さずに給食を食べてほしいと思うのは自然なこと。しかし、それを子どもに強制するのではなく、寄り添うことが大切になるでしょう。 また、学校給食は、子どもの成長をサポートする大切な食事。物価高騰、量や内容についての課題はありますが、学校や家庭、そして自治体が協力して取り組み、子どもたちが楽しく安心して食べられる給食の形を目指していきたいものです。 ※この記事は、「Hint-Pot」とYahoo!ニュースによる共同連携企画です。
Hint-Pot編集部