学校給食に「量が少なくて質素」と不満の声、完食指導にも変化 変わる令和の教育現場
子どもたちにとって楽しみのひとつと言える学校給食をめぐり、「量が少なくなっている」「完食指導は良くない」などと言われるようになっています。令和になり、学校給食がどのように変化しているのか、保護者や教育現場の声を聞きました。 【画像】給食の変遷 令和の給食メニューは昭和と比べるとどう変わった? ◇ ◇ ◇
学校給食の現場で行われている工夫とは
小学3年生の息子を持つ大阪府の小林さん(40代/仮名)は、「給食が少ないし、質素」と不満を漏らしていました。子どもがお腹をすかせて帰宅することもあるようです。「子どもによって食べる量も違うと思いますが、これから高学年になってどんどん食べ盛りになってくるので、現状の量だと心配」と話します。 学校給食の献立は、各自治体の取り組みや予算に応じて異なりますが、子どもの成長を支えるのに必要なエネルギーや栄養素を、まんべんなく摂取できるように工夫されているものです。しかし近年、物価高の影響もあって「メニューが質素になった」「給食の量が少ない」といった保護者からの声が上がっています。 このような現状があるなか、学校給食の現場ではどのように対応しているのでしょうか。東京都の公立小学校に管理栄養士(管理栄養士・栄養教諭)として勤める松丸奨先生は、「安価な食材をバランス良く使い、栄養価を満たす」という工夫を行っているといいます。 「たとえば『肉類』は、部位によっては高価になるので、豚肉ならバラ肉よりも安めの肩肉などを選択。『魚介類』も、国産の北海道産シャケを使いたいところでも、安価な海外産に変更するなどしています。 なんとかやりくりはできますが、子どもたちに『旬の食材・旬の味覚』を教えてあげるのも学校給食で大切なことです。それが物価高のために制限されてしまうのは、子どもたちのためにも良くないことだと考えます」
物価の上昇で給食が質素に?
さらに松丸さんは、米の価格上昇がとくに深刻だと感じています。 「精白米の品種や産地にもよりますが、学校給食用の一般的な米の価格は、昨年11月で1キロ323円でした。それが、今年11月は580円と、257円も上昇しています。私の学校で1日に炊く米は50キロ。昨年までは1日あたり1万6150円だったのが、今年は2万9000円になっています。これが週に3~4回を1年間ですので、その負担は大きいです」 食材費用が上がることに伴い、給食費も上昇しています。文部科学省の「学校給食に関する実態調査」によると、2021年の全国の公立小学校における給食費の平均月額は4477円。2024年6月時点では4688円で、3年前と比べて上がっているものの、松丸さんは「食材費の高騰と給食費の上昇が合っていない」と指摘します。 「追加の補助金が入るかもわからないなか、栄養士は献立を組まなければいけません。自治体によっては、献立を半年前には完成させなければいけないところもあります。『このままでは運営ができない!』と判断せざるを得ず、食材数や品目を減らした『貧相な給食』というのがメディアで話題になりました」 そうした流れを受け、多くの自治体で追加の予算が令達され、クオリティがどうにか守られている学校は多いといいます。 「ただ、この追加の予算も、物価高が終わり例年並みの価格に落ち着くことが前提です。このまま物価高の波が収まらないと、給食費の値上げを検討していくことになるでしょう」