【闘病】ステージ4の「下咽頭がん」でも声帯は残したかった… 役者生命もかけて
創作活動が心の支えになってくれた。信じて道を切り開く気持ち
編集部: 闘病に向き合う上で心の支えになっているものを教えてください。 中村さん: 私の場合、心の支えになっているのはやはり創作活動です。2021年10月、3度目の手術を終えたあと、旧知の先輩から「今度二人で、がんをテーマにしたトークイベントをやらないか?」と、お誘いをうけました。 そして二人で、がんに関するトークショーと、落語やアートなどを交えたイベントを開催したのですが、とても好評だったのです。それをきっかけに、再び私の創作意欲に火が点きました。 そして、奇跡的に声を残すことが出来た私は、「声による表現」というものを改めて模索し始め、朗読ユニットを旗揚げしました(詳細はプロフィールに記載)。公演の準備や稽古など、創作活動に携わっている時間は気持ちが前向きになります。 編集部: 現在の体調や生活などの様子について教えてください。 中村さん: 病院から処方されている薬はとくにありません。未だに首筋には大きな傷痕があり、一年前くらいまでは首にスカーフを巻いて傷を隠していましたが、もうやめました。単に面倒くさくなっただけですが、人目を一切気にしなくなったということもあります。 闘いに勝った証として、この傷痕は気に入っています。ただしそれとは別で、首には常に強い圧迫感があり、とても苦しいです。もうだいぶ慣れましたが、常に霊からぎゅっと首を絞められているような感じです。 編集部: 飲食する際はいかがですか? 中村さん: 飲食は以前より困難で、注意しないとすぐに喉が詰まってむせます。柔らかいものばかり食べると慣れてしまうので、多少無理をしてでもいろんなものを食べるように心がけています。 編集部: 同じ病気を抱えている人に伝えたいことはありますか? 中村さん: がんの闘病生活はとても長いです。私の場合、家族が突然家を出ていき、一人になってしまい、途方に暮れていたところ、まさかのがん宣告でした。闘病に際し周囲からも思うような支援を得られず、不安や恐怖、孤独感がありました。 今でも時々気持ちが落ち込むことはありますが、手術やリハビリを乗り越えて今があります。信じて頑張れば、道が開けていくと思います。 編集部: 医療従事者に望むことはありますか? 中村さん: これ以上望むことはなく、感謝しています。 編集部: 最後に、読者に向けてのメッセージをお願いします。 中村さん: どんなに辛い状況でも、必ずどこかに一筋の光が見えるときがあります。新しい出会いがあり、新たな人生が広がります。それを信じて前に進むことが一番大事だと思います。