人手不足でも技術活用進まない「日本の不合理」、政治は国民生活に直結した問題解決を議論せよ
さらに、今年の10月には、テスラが「ロボタクシー」という完全自動運転の車を発表する。これは自家用車として発売されるのだが、持ち主が使わない時間帯には、ウーバーのサービスと同じように乗車サービスを第3者に提供することも可能になるようだ。 日本でも、こうした自動運転車が利用できるようになれば、事態は大きく変化するだろう。そもそも運転手が必要ないのだから、「運転手不足」という問題が、消滅してしまうわけだ。まったく夢のような話だが、世界の最先端では、それが現実になっているのである。
日本でも、そうした世界が実現することを強く望みたい。しかし、残念なことに、日本の現状は、それよりはるかに以前のところにある。 自動運転車が公道を走れる状態になっていないという技術的な問題だけではない。以下に見るように、技術的にはすでに可能になっているにもかかわらず、業界の事情で導入できないのだ。 タクシーについて言えば、前項で述べたAI自動運転車の前に、ライドシェア(ライドシェアリング)が技術的には可能になっている。これは、一般のドライバーが、自家用車で乗客を有償で運ぶサービスだ。
アメリカや中国では、すでにタクシーの重要な手段になっている。しかし、日本では、これまでは、基本的には規制されてきた。 タクシー不足が深刻になったため、2024年4月から、東京などの一部地域で自由化されることになった。ただし、タクシー事業者が運営主体にならなければならないなど、極めて厳しい条件のもとで、限定的に認められているだけだ。 雨の日の場合には条件を若干緩和するなどの措置もなされたのだが、限定的であることに変わりはない。
■「タクシー会社の都合」で認められない不合理 なぜ、このように制約するのだろうか? 一般のドライバーが客を乗せるのは、安全上の問題があるからだろうか? しかし、そうであれば、「タクシー会社が運営主体にならなければならない」というような制約を付けることにはならないはずだ。 完全に自由化せず限定的にしか認めないのは、安全上の理由というよりは、既存のタクシー会社の客を奪わないためだとしか考えようがない。雨の日には需要が多いから、規制を緩めてもよいということだろう。