コンサドーレ札幌が降格したのはなぜか 「ミシャらしい」サッカーの「光と闇」
【同点にしてからは「闇」が...】 一方、ミシャサッカーの真髄も見せた。 前半42分、鈴木武蔵の一撃で1-1に追いついたシーンは象徴的だろう。やや勢いが止まった広島を押し込むと、手を緩めない。スローインから短いパスをつなぎ、間合いを測ったパスを、3人目として近藤友喜が裏に走って受け、そのクロスをニアで鈴木が合わせた。攻撃の連続性が感じられ、人とボールが動き、流れがあった。 〈スペースの占拠と撹乱〉 それをトレーニングから繰り返しているのだろう。 「練習から、3人目で(近藤)友喜が背後を取るシーンはよくやっているので。スローインじゃなかったとしても、チャンスになるなって思いました。股(の間)を狙ったクロスで、関係性がよかったですね」(鈴木) ミシャのサッカーは、常にボールにチャレンジし、ボールを運び、イニシアチブをとって相手を凌駕する。それをシステム化し、選手を啓発、覚醒させた。その結果、J1に6シーズンも定着させたのだ。 もっとも、同点にしてからは札幌の"闇"のほうが強く出た。 前半終了間際、FKでは人に気を取られすぎ、ボールを見すごし、直接入れられてしまう。後半10分には、再び相手が圧力を強めてきたことに混乱したのか、腰砕けのバックパスを狙われ、PKを献上。そこから反転攻勢を強めるも、後半34分に鈴木に入れた縦パスを奪い取られると、トランジションについていけず、カウンターで失点。これで試合は決した。 「我々にもチャンスがなかったわけではないが、決めきれない試合で......」 ミシャはそう言いながら、わかりやすく試合を振り返っている。 「前半アディショナルタイム、サイドからのセットプレーで距離もあったと思いますが、そのままゴールに入ってしまった。不運な失点で......そこで後半に向けたハーフタイム、『逆転するために戦おう』と伝えましたが、マイボールの状況でプレッシャーがかかっていなかったのにGKへボールを下げ、もったいない3失点目でした。4失点目はカウンターを中で合わせられましたが、相手はひとりだったので、予測して防がないと。自分たちも右サイドを突破し、同じようなチャンスを作りましたが、相手はCKに逃げていました。得点を決める場面で、質の差が出ました」