「踊る大捜査線」で欠けていた室井慎次の最終章 脚本・君塚良一が“室井の終焉”を執筆した理由
そこに死体が発見されるという事件が絡んでくるのは、「やっぱり、観客を面白がらせて、ワクワクさせるのが『踊る』だから。そのために、もう1つの線として過去の事件が絡んできて、室井さんが秋田に帰ったからと言ってハッピーエンドな老後をおくれているではないぞという形にしたんです。僕の中ではあくまで、家族の話、ホームドラマです」と明かした。劇場版2作目『踊る大捜査線 THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』の事件に絡めたのは、「一番たくさんの方が観てくれているから」という理由だった。
『生き続ける者』の最後、室井はこの世を去る。その構想も最初からあったのだろうか。「概念としてはありました。人前から消えていく、という。誰も知らないところに行ってしまうとか、あるいはずっと歳をとって朽ちていくとか。それが最終章になると思いました。ですから、たとえば秋田で探偵業をやっています、ということにはならないんです」と君塚は語る。室井の生存を諦めきれないファンの意見もネットなどで散見されるが、「観客の方がそういうふうに思ってくださるなら、それを僕が否定する理由は何もないです。観て、感じてくださった通りです」(取材・文:早川あゆみ)
『室井慎次 敗れざる者』『室井慎次 生き続ける者』は全国公開中