今年も「つまらない」「学芸会」…『THE W』が”視聴者感情を逆なで”し、厳しい声が飛び交ったワケ
『R-1』『SECOND』と3弱状態
10日夜、『女芸人No.1決定戦 THE W 2024』(日本テレビ系)が3時間生放送され、にぼしいわしが紺野ぶるま、忠犬立ハチ公との最終決戦を制して8代目女王に輝いた。 【一覧】テレビ局「本当は使いたくないタレント」…ワースト1位は意外な大御所…! 視聴率は個人4.1%・世帯6.6%を記録(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。他のお笑い賞レースと比べると、『M-1グランプリ2023』(ABC・テレビ朝日系)が個人12.2%・世帯17.2%と独走状態で、それを『キングオブコント2024』(TBS系)の個人6.1%・世帯9.2%が追いかけるという構図が続いている。 一方、『THE W』は『THE SECOND』(フジテレビ系)の個人3.8%・世帯6.3%と『R-1グランプリ』(カンテレ・フジテレビ系)の個人3.4.%・世帯5.2%とともに3番手グループを形成。というより、他番組よりリアルタイム視聴が期待できる長時間生放送だけに、業界内では“3弱”という声があがっている。 しかし、視聴率と同等以上に問題なのは評判。放送中からネット上には、「単純につまらない」「学芸会に見える」「一生懸命なのはわかるが見ていられない」「時間を返してほしい」「来年は見ない」などの厳しい声が並び、女王への祝福こそあったもののネタへの称賛は少なかった。 かつて『M-1グランプリ』も『キングオブコント』も批判的な声があがる厳しい時期が訪れながらも、さまざまな工夫や努力で立て直した歴史がある。一方、『THE W』はなぜ放送8年目にもかかわらず批判の声から抜け出せずにいるのか。
お笑い好きが静観するレベル問題
『THE W』への批判で最も多いのは、ネタのレベルに関するもので間違いないだろう。 これは「女芸人No.1決定戦」と出場資格を限定したことである程度は避けられないものだが、厳しいのは批判の内容が第1回から現在まで、ほぼ変わっていないこと。実際はジワジワとレベルアップしているのかもしれないが、ネット上の反応を見る限り、視聴者の感覚は変わっていない。この点はファイナリストだけでなく、制作サイドや出演者の責任も大きいのではないか。 まず制作サイドが「過去最高の903組がエントリー」「今までで最も熾烈な争いが繰り広げられている」などと盛り上がりやレベルアップをあおっていたこと。さらにMC、審査員、大会サポーター、歴代女王らが「面白い」などの称賛を繰り返したこと。視聴者の感覚以上に笑い声や拍手が多く大きかったことなどが不信感となり、ネット上の批判につながっていた。 実際、「900組以上から選ばれたファイナリストがこのレベルでやる意味あるの?」「MCも審査員も無理やり笑っているようにしか見えない」「この笑い声や拍手って効果音だろ?」などの声が見られたが、問題は単純なレベルに留まらない。 今大会では、「面白くないのに持ち上げるのは女性芸人への差別に感じる」「女性相手だから『M-1』や『キングオブコント』のようにダメ出しをしないのか」という“ほめる”という逆差別の指摘が目についた。さらには「審査員がよくないところをちゃんと指摘し、過剰な笑い声をやめなければいつまでもレベルは上がらない」などのシビアな声もあり、真偽はさておき正論に見えてしまうところが苦しい。 その一方で、ネタに関するコメントは他の賞レースに比べると圧倒的に少なかった。『M-1』や『キングオブコント』はお笑い好きがここぞとばかりに感想や考察をネット上に書き込み、『THE SECOND』や『R-1』もその傾向はあるが、『THE W』に関しては“ほぼ静観”という感がある。お笑い好きほど「まだ論ずるに値しない」とみなしているとしたら何よりの問題だろう。