むくみの陰に潜む病気とは? 塩分だけじゃない原因と効果的な対策を医師が解説
足や顔のむくみや腫れを解消するにはどうすればいい? 食事の塩分を減らす? 医師に聞く浮腫対策・食生活
編集部: むくみを改善・解消するためにはどうしたら良いですか? 安達先生: 例えば運動不足によるむくみは、軽い運動やストレッチを行うことで血液の循環が促進されて徐々に改善されます。それぞれむくみの原因を取り除くことが大事です。市販のグッズ、例えばドラッグストアなどで販売されているむくみ予防の靴下なども効果的です。 編集部: 塩分の摂りすぎによるむくみはどうしたら良いですか? 安達先生: 塩分の摂りすぎによるむくみには、単純に塩の摂取量を控えることが必要です。また、塩を使う場合でも、精製塩ではなく天然塩を選ぶことをお勧めします。 天然塩だと、カリウムなどのミネラルも摂れますし、ミネラルが含まれていることで純粋な塩分である「塩化ナトリウム」の含有量が下がるため、塩分の摂取量も減らせるからです。 編集部: カリウムなどのミネラルは、どのような食材に含まれていますか? 安達先生: 緑黄色野菜や果物、芋類・豆類に多く含まれています。むくみが気になる方は、塩分を控えると同時に、生の野菜や果物を意識して摂ることをお勧めしています。 編集部: 塩分を控えるポイントはありますか? 安達先生: 例えば、外食やお惣菜は塩分量も多いので、機会を減らすことを心がけるのは有効です。外食やお惣菜を利用するときは、麺類であれば汁・スープを残す、ソースや醤油などの後がけの調味料は使わない、既にかかっているときは外すなどで塩分摂取量は減らせます。 特に汁物は、思っている以上に塩分が多いため、昼食の時などは汁物でなく温かいお茶にするなどで塩分を減らすことができます。
減塩してもむくみが解消しない場合、病院で腎臓やリンパ節などを診てもらえる? どんな治療があるの?
編集部: 減塩や運動不足などを解消しても、むくみが変わらない場合はどうしたら良いですか? 安達先生: 先ほども述べたように、何かの病気が隠れている可能性がありますので、病院で検査してもらうことをお勧めします。 放っておくと、病気の発見や治療が遅れてしまうリスクがありますし、むくみの強い皮膚は、血流が悪くなるためうっ滞性皮膚炎を起こしたり、小さなケガが治りにくくなるため、大きなトラブルになったりすることもあります。 編集部: どのようなむくみだと、早めの受診をした方が良いですか? 安達先生: 夕方だけ足だけむくむ、塩辛い食事や飲酒が多かった翌日にのみむくむなどの場合、病気ではない可能性が高いですね。 朝から浮腫があり、一日中続いている場合や片足だけの浮腫が続く場合などは早めの受診をお勧めします。また、高齢の方で、息苦しさやだるさ、食欲低下なども一緒にある場合は早めに受診してください。 編集部: むくみで受診した場合、どのような検査をするのですか? 安達先生: 若い方であれば、甲状腺機能を見るための血液検査、また腎臓の機能を見るための尿検査、血液検査、肝臓の機能を見るための血液検査などがあります。また心臓からの浮腫を疑う場合は、胸部レントゲン、血液検査なども行います。 編集部: 病気からのむくみだった場合、どのような治療をするのですか? 安達先生: 原因となっている病気の治療が優先されます。例えば甲状腺機能低下症があれば、さらに原因を特定するための血液検査や甲状腺エコーなどを行い、甲状腺ホルモンの内服という治療をすることが多いです。 腎臓や肝臓からの浮腫の場合は、ほかの検査などから確定診断を行い、それに合わせて治療が選択されます。心不全の場合も、心エコーなどで心臓の評価をし、結果にあった治療をします。 浮腫そのものは、利尿剤を使って、尿量を増やせば確実に減りますが、その治療が必要な場合と、むしろ脱水を起こすような危険性がある場合もあり、単純に利尿剤だけを使うということはあまりありません。 編集部: 最後に、Medical DOC読者へのメッセージがあればお願いします。 安達先生: むくみは目に見える症状であり、不快なことでもあるので、心配される人も多いと思います。 軽いむくみや夕方だけ足がむくむというような浮腫は、塩分の摂りすぎを見直したり運動することで改善することも多いですが、どちらにしても一度病院を受診して相談しても良いと思います。 心配しながら生活するより、きちんと受診して評価してもらい、心配な病気がないことを確認し、安心した上で生活習慣の見直しをしていけたらいいですね。