若者には意味不明!? 車に正月飾り、アリかナシか? そもそも何のために付けてるの?
かつては、新年を迎えると、道行くクルマの多くに、正月飾りがつけられていました。しかしながら、昨今はその数が激減しており、つけているクルマが珍しいほどに。はたして、クルマの正月飾りは、必要なのか、不要なのか!? 【旅行では気をつけて!】ご当地ワル走り5選
■そもそも正月飾りとは?
正月飾りの製造卸を行っている会社によると、正月飾りとは、その年の歳神様を迎えるための目印であり、神様に滞在していただくためのお飾りだそうです。 玄関の門松や玄関飾りが目印で、神棚の神飾りやしめ縄は、歳神様を神棚にお祀りする神聖な場所を示すもので、魔除けの意味もあるとのこと。クルマに正月飾りをつけるのも、かつては憧れの存在であり、大切にしていたクルマに災厄が降りかからないように、というオーナーの気持ちが込められていたものだと思われます。 いつからクルマに正月飾りをつけるようになったのかについては、いろいろ調べてもわかりませんでしたが、1980年代には、道行くクルマの多くが正月飾りをつけていたようです。 ただ、いつのころからか、正月飾りをつけるクルマは減ってしまい、1990年代ごろから急に廃れていったようです。正月文化が希薄になってきていることに加えて、個人がクルマを所有することが当たり前になり、特別な存在ではなくなったことで、クルマに正月飾りをつける意味を失ってしまったのかもしれません。また、クルマは自宅の正月飾りと違い、つけたまま走行をするため、周りがやっていないと恥ずかしくなる、という日本人の奥ゆかしさも影響しているかもしれませんね。
■つける場合はつける場所に注意!!
つけているクルマはあまり見かけませんが、いまも「自動車用」とされる正月飾りや「交通安全」の札がつけられた正月飾りは販売されています。SNSなどをみても、クルマに正月飾りをつけた写真を投稿している人は、多くはないもののみられますし、いまも毎年飾る人はいるようです。 特に90年代以前のクルマのオーナーさんは、レトロなクルマに正月飾りが似合うとして、楽しんでいる様子も。また、「廃れているから敢えて」として、クルマに正月飾りをつけていた人も見かけました。 そんな正月飾りですが、つける場所には注意が必要。道路運送車両法第19条「自動車登録番号標の表示の義務」の規定に従い、ナンバープレートを隠さないようにつけなければなりませんし、昨今のクルマのフロントグリル周辺にはカメラやレーダーが装備されていますので、フロントグリルにつける場合にはそれらの邪魔にならない場所につける必要があります。 車内に飾る場合も、フロントガラスにつけるのはNG。フロントガラスは、道路運送車両の保安基準によって、装着または貼り付けができるものが明確に定められており、それ以外のものを装着することは認められていません。「自動車用」として販売されている正月飾りのなかには吸盤式ものがあり、フロントガラスにつけたくなってしまいますが、避けるようにしてください。
■少数派ながら、今後もつづいていくのでは??
日本の伝統である正月文化は、やはり廃れてはほしくないもの。昨今は、インバウンドが増え、日本の文化が見直されていますし、ひょっとすると今後は、タクシーや観光バスなどにおいては、正月飾りをつけることが増えてくることもあるのでは、と思います。 かくいう筆者も、しばらくクルマに正月飾りをつけていませんが、今年は、勇気を出して正月飾りをつけてみようかな、と思います。 Text:吉川賢一 Photo:Adobe Stock、PHOTO AC