「ぼろぼろになって一人で死んだ」…昭和の伝説的ストリッパー「一条さゆり」の残酷すぎる「人生の幕切れ」
「伝説的」な死にざま
確かに、マイケル・ジャクソンに限らず、芸能者はその晩年の生き方や亡くなり方によって伝説となる。自動車事故の後、モルヒネ中毒に苦しんだフランスの大シャンソン歌手、エディット・ピアフ、36歳で謎の死を遂げたマリリン・モンロー、射殺されたジョン・レノン。 外国の大スターの例を出すまでもなく、一条と並ぶ伝説のストリッパー、ジプシー・ローズもそうである。 彼女は現役時代から多量の酒を飲んだ。そのため芸が衰え、人気のかげりにつながった。65年に引退、2年後に32歳の若さで亡くなっている。好きだったスロージンの空き瓶を左手に持って寝室で倒れていた。アルコール中毒による突然死だった。晩年のジプシー・ローズは飲んでばかりで食事をとらず、栄養失調から脳にも支障をきたした。 奇しくも日本のストリップ史において特筆される踊り子2人は、その死にざまから伝説となったのだ。
一条さゆりの魅力
カウスは改めて一条の魅力について考えた。 「僕は一条さんと毎日生活していた。近くにいて、彼女から『乞食根性』を感じたことはまったくなかった。ひがみや妬みの感情です。それがなかった。なんやしらん、ペーソスを感じる。どこか欠けているけど憎めない。持って生まれたもんです。完璧な芸人って、お客さんは好きにならないんです。こんなにできる人でも、ここはあかんなというところにお客さんがほれていく」 寛美が多額の借金を作る。勝新は大麻とコカインをパンツに隠して逮捕される。そして、やすしはタクシーの運転手を殴っている。一般社会では許容されがたいこうした行為こそ、芸人を芸人たらしめているとカウスは言う。その意味では、一条ほど芸人らしく生き抜いた者は珍しい。 「計算され尽くした、完璧な芸人なんて魅力はない。『あれだけの人がなんで?』っていう部分がないとあかん。計算できる芸人は売れませんよ。一瞬は売れるかもしれんけど、そのうちファンがついてこなくなる。トントン拍子で行くチャンピオンの芸は、あるところで見たくなくなる。こんなに売れているのにすとんと落ちる。『かわいそうやな、あの子』ってなるねん。それがペーソスです」