白河の名ラーメン店「とら食堂」の首都圏弟子店6軒を回ってみた
日本初の料理評論家、山本益博さんはいま、ラーメンが「美味しい革命」の渦中にあると言います。長らくB級グルメとして愛されてきたラーメンは、ミシュランも認める一流の料理へと変貌を遂げつつあります。新時代に向けて群雄割拠する街のラーメン店を巨匠自らが実食リポートする連載です。 山本益博のラーメン革命!
名店「とら食堂」のDNAはどう受け継がれているのか?
ラーメンを食べ歩くのに、SNSに大変お世話になっている。店舗案内、メニュー情報から、店までの行き方、駅から歩くときの移動の時間や場所案内まで。 車で出かけてもいいのだが、最寄りの駅から歩きだすと、周りの風景がよく見えて、ラーメン屋の立地が理解できてくる。心配なのは「本日臨時休業」のお知らせがないように、歩きながら祈ることだろうか。コロナ禍の時は、これが多かった。
白河の「とら食堂」でとても立派なラーメンを食べてから、再訪したい気持ちが湧いてきて仕方がないが、なかなかそうはゆかない。そこで、「とら食堂」のDNAを受け継ぐラーメン専門店が東京、埼玉、千葉、神奈川にあることを知り、その6軒を回ってみることにした。
■ 「白河中華そば孫市」(国分寺)
まずは、東京・国分寺にある「白河中華そば 孫市」。JR西国分寺駅から歩いて15分のところにある。駅から線路沿いの道を歩き出すが、日影がほとんどなく、店に着いたところで、かなり体が汗ばんだ。 店は表通りから少し引っ込んだところにあり、樹々に覆われた店の風情が素敵だった。
午後遅めに出かけたせいもあり、すぐに店に入ることができ、「白河中華そば」を注文。出てきた中華そばは、具材など盛り付けが白河の本店と変わらないが、スープをいただくと精彩がない。麺も同様だった。つまり、ひと言でいうと、本店の調和のとれた緊張感が乏しかった。駅までの帰り道がなんとも遠かった。
■ 「手打中華 とら食堂 松戸分店」(松戸)
2軒目は松戸の「手打中華 とら食堂 松戸分店」。松戸といっても京成成田空港線「松飛台」駅で降りる。改札口を出ると、すぐに大きな「とら食堂」の看板が目につき、電車でやってきても苦がない。ところが、大型駐車場が完備していて、皆さん車でやってくる。電車を乗り継いでくる客はひとりもいない。