ヤンマーが燃料電池発電システム「HP35FA1Z」を発表。最大16台を一括制御
最小クラスの設置面積を実現した燃料電池システム
2024年7月16日、ヤンマーエネルギーシステムは水素を使って発電する据え置き型の水素燃料電池発電システム「HP35FA1Z」を発表、同年9月2日から販売を開始するという。またこの製品は同年7月30日~8月2日に開催される「下水道展 2024東京」(東京ビッグサイト)に展示される。 【写真】ヤンマーの水素燃料電池発電システム「HP35FA1Z」をもっと見る いまでこそ、トラクターや耕運機など農業機械、ショベルやホイールローダーなどの建設機械、プレジャーボートや漁船といった船舶のメーカーとして知られるヤンマーだが、1912年の創業時から続いている事業は発動機だ。山岡発動機工作所として創業した当初はガス発動機の修理・販売を行う企業だったといい、1921年に変量式石油発動機を製造販売して以来100年以上発動機メーカーとしての歴史を持つ。 こうして自社開発した発動機を活用して多面展開されてきた事業のひとつに、ディーゼルエンジンやガスタービンなど燃料を使用した「発電機」がある。一方で、脱炭素社会の実現に向けて再生可能エネルギーの活用が注目される中、廃食油を使ったバイオディーゼル、バイオガスといったカーボンニュートラルソリューションによる発電機事業も展開されている。 そして、2050年カーボンニュートラルに向けてエネルギー安定供給・脱炭素・経済成長を同時に実現するための法律「水素社会推進法」が2024年5月に成立するなど水素への注目度は高まる中、ヤンマーエネルギーシステムは発電出力35kWの水素燃料電池発電システム「HP35FA1Z」を開発、2024年9月2日に受注を開始することを発表した。 同社は、岡山試験センター内に実証施設「YANMAR CLEAN ENERGY SITE」を2023年9月に開設し、水素発電システムや蓄電池などクリーンエネルギー機器の耐久試験や技術開発といった実証試験を行ってきた。 こうした技術を導入したのがHP35FA1Zで、発電時に二酸化炭素(CO2)や窒素酸化物(NOx)など排出ガスを出さない燃料電池ならではの性能に加えて、運転に必要な系統連系用電力変換装置をはじめとする機器を内蔵することで、導入時の工事を簡素化できるのもメリットのひとつ。 また幅2340×奥行900×高さ2290mmというサイズは、出力35kW級の発電システムで最小クラスのコンパクト設計でもある。省スペース性を活かして、必要とする電力量や利用可能な水素の量に合わせて最大16台を併設、一括制御して運転することもできるという。 脱炭素化の目標値は業種や規模など企業によって異なる。必要なタイミングで必要な数を導入できる燃料電池発電システムというわけだ。 【ヤンマーの水素燃料電池発電システム「HP35FA1Z」】 型式:HP35FA1Z 発電効率:51.2% 発電出力:35kW(連系時)、35kVA(自立時) 変量電池の種類:固体高分子形燃料電池(PEFC) 燃料:水素(純度≧99.97%) 制御台数:最大16台(連系運転時) サイズ:幅2340×奥行900×高さ2290mm 質量:1650kg