【復刻掲載】「"リアル鉄"・石破茂とゆく寝台特急の旅!」2009年の週プレ独占インタビューを再掲載!
■『出雲』廃止に大ショック。もし国鉄に入っていたら... ――そんな大臣は、多忙の中、代議士になられてからもよく『出雲』乗られてたとか。 「週4回、『出雲』に乗ったこともあったね。金曜夜に鳥取へ行って、日曜夜に東京へ。さらに火曜の夜に東京から乗って、朝から鳥取で街頭演説をして朝9時過ぎの飛行機で帰京。逆に夕方に東京から最終の飛行機で鳥取へ行って会合に出て、夜8時過ぎに鳥取を出る『出雲』に乗って東京に戻ってきたり。国会議員になって数年は寝台料金が出なくて。だから、乗るのは一番安いB寝台上段。車掌さんから『あなたも大変だね』って同情されてましたよ」 ――確かにB寝台は狭かったですね。 「でも、護衛艦の寝台と比べれば広いですよ。ウォークマンを聴いて本を読むのが充実の過ごし方でした。 食堂車でもよく呑んでましたね。乗ってると車内放送で『衆議院議員の石破茂様。食堂車で○○さまがお待ちでございます』って呼び出されるんです。行くと農協さんや町長さんが宴会をやってる。夜9時とかにお開きになる。すると次のお客さんが来て、今度はオレと呑もうってそのまま夜11時の閉店まで。お酒が強くてよかった。夜行列車の全部が楽しかったですね。」 ――そんな『出雲』が平成18年3月に廃止されちゃいました。 「もう大変なショック。私の国会議員生活の中での数少ない楽しみを奪うのかって! 確かにガラガラの時はあったけど、あの廃止の仕方はよくなかった。車両はボロいままだし、お客を増やそうって努力もせずに、ただ老朽化して安楽死するのを待つようで。 JRの言い分もわかる。寝台列車ってひと晩に1回しか稼げないし、夜中に走らせると保線にも相当支障が出る。でも、鉄道っていうサービス産業は、お金を稼ぐのもいいけど夢を売る商売でもあると思うので」 ――そこで大臣は現在「寝台特急『出雲』を復活させる会」を作ったとか。 「アハハ。会長が私で、副会長が兵庫県選出の衆院議員の谷公一さん。今、会員はふたり(笑)。でも、ヒマがなくて何もやってないんですけど」 ――でもでも、こうしている間にどんどん夜行列車は消えて、この3月にはブルートレイン『はやぶさ・富士』も廃止になってしまいますよ、大臣。 「そうなんだよね~。先週大分に出張した時、なんとか『富士』に乗りたくて大画策したんだよ(笑)。でも、切符が取れなくて泣く泣く断念。ああ、もう西へ行くブルトレに乗ることは一生ないのかもしれない...。 そうだ、この3月上旬、札幌で講演することになってるんです。札幌だったら帰りに始発から『北斗星』に乗れます。しかも16時間も。今の私はそれだけを楽しみに働いてますね(笑)」 ――札幌→東京16時間はツライんじゃないですか? 「全然! 今から16時間どうやって使おうか楽しみで楽しみで。 私は鉄道マニアの流派では断然〝乗り鉄〟で乗ること自体が好きなんです。同時に国会議員という仕事は、実は休日は年に1回あるかないで、ひとりになれる時間もなく、常に誰かに囲まれている。警護の方は本当にありがたいのですが、それはすごいプレッシャーでね。だから個室寝台のありがたさを本当にしみじみ感じてます」 ――そんな大臣は、本当は政治家よりもなりたかったお仕事があったとか。 「そう。就職するなら国鉄以外にないと思ってた。でも就職活動の時、当時、参議院運輸委員会の理事やってた父親に反対されて。国鉄はもうすぐ潰れるぞって」 ――職種は、やはり運転士希望とか? 「国鉄ならなんでもよかったです。出世しなくていい。全国どこでもいい。とにかく鉄道に関する仕事に就きたかった。もしあの時入社してたら、全然違う人生だっただろうな~(笑)」