韓国大統領代行、国の格付け下落を恐れる理由…回復に18年かかった
新年に入っても政局不安が続き、韓国経済を裏付ける国の格付けが揺れている。格付けは一度下がると回復しにくいだけに韓国政府は緊張している。 韓国企画財政部は今年上半期が政局不安を解消して国の格付け下落を防げる「ゴールデンタイム」であると判断し、行政力を集中している。政局不安が下半期まで長引けば、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)、ムーディーズ・インベスターズサービス、フィッチ・レーティングスの国際格付け会社3社が韓国の格付けを引き下げかねないためだ。フィッチは先月23日に中央日報とのインタビューで、「尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領に対する憲法裁判所の弾劾審判が長期化する場合、韓国の格付け下方リスクとして作用しかねない」と警告した。 大統領代行を務める崔相穆(チェ・サンモク)副首相兼企画財政部長官が先月31日に鄭桂先(チョン・ゲソン)氏と趙漢暢(チョ・ハンチャン)氏を憲法裁判官候補に任命した背景にも国の格付け下落への懸念があるという分析が多い。憲法裁判所は裁判官6人体制から8人体制に変わり、今後裁判がスピードを出す見通しだ。 企画財政部は景気浮揚の意志も積極的に明らかにしている。鈍化する経済成長率が国の格付けを引き下げかねないためだ。景気が沈滞すれば税収が減り韓国に対する投資魅力が落ちる。政府の債務償還能力低下が国の格付け下落につながる恐れもある。企画財政部は2日に今年の経済政策方向を発表しながら「85兆ウォン水準の民生・景気事業70%を上半期に執行する」と明らかにした。その上で1-3月期中に追加的な景気補強案を出すことができるという意向も示した。 ただこうした拡張政策は国の借金を増やし政府の財務健全性悪化を招く恐れがある。これは国の格付けを脅かすまた別の要因だ。ナイス信用評価のイ・ヒョクチュン金融SF評価本部長は「政府が今年財政支出を拡大しようとしているが、国内総生産(GDP)比の政府負債比率の上昇傾向が高まる可能性がある。今年末ごろには心配される数値に到達する恐れがある。これは国の格付け下方圧力を高める」と話した。 企画財政部は先月30日に2025年の国債発行限度を197兆6000億ウォンに確定した。昨年の発行量158兆4000億ウォンより25%近く増えた数値だ。もし追加補正予算が編成されればさらに増えるかもしれない。 ソウル大学経済学部のアン・ドンヒョン教授は「政府の苦心が大きくならざるを得ない状況。財政支出を拡大すると同時に財政健全性悪化を緩和するために減税(租税支出)政策基調を撤回するのか検討するなどの税収確保案を用意しなければならない」と助言した。 企画財政部が深い苦悶に陥った理由は国の格付けが一度下落すれば回復するのに長時間が必要だからだ。国際格付け会社は投資家から訴訟を起こされるリスクを減らすため格付けを引き上げるのに保守的な性向を帯びるためだ。格付けが落ちた国に対して「レッテル効果」が作用する面もある。ある企画財政部関係者は「学校で先生に一度目を付けられた生徒はその後どれだけまじめにやっても信頼を回復するのが難しいのと似ている」と話した。 すでに韓国は下がった格付けを引き上げるのに長期間苦労した経験がある。1997年に通貨危機が起きると韓国の格付けはS&Pの発表基準で「AA-」から「B+」まで10段階急落した。その後4年が過ぎ2001年に国際通貨基金(IMF)の管理体制を卒業したが、さらに14年過ぎた2015年になって格付けが通貨危機前の「AA-」水準に回復した。2016年にはさらに1段階上がり「AA」等級になり現在まで維持されている。主要国でも類似の事例が多い。世界最大の経済大国である米国でさえも2011年に「AAA」から「AA+」に1段階落ちた格付けを14年後の現在まで回復できずにいる。