阪神タイガース2軍拠点、3月開業 尼崎駅前中央公園、同時期リニューアル まちの魅力向上へ
今年3月、阪神電鉄大物駅南側に、プロ野球阪神タイガース2軍球場を中心とした「ゼロカーボンベースボールパーク」が開業する。尼崎駅北側では同月末に中央公園のリニューアル工事も完了し、カフェや芝生広場が誕生。両駅間には尼崎城などもあり、隣の杭瀬、出屋敷駅に目を向ければ個性的な商店街が広がる。直線距離で約3キロ内に点在するスポットをどうつなぎ、エリアとしての魅力を高めるか。「工都」の新たな挑戦が始まる。(広畑千春) 【写真】阪神電鉄尼崎駅北側の中央公園のリニューアル予定図 ■尼崎市が周辺連携模索 ゼロカーボンベースボールパークは環境省の脱炭素先行地域の指定を受けて小田南公園を再整備する。新球場や室内練習場など2軍施設のほか市民球場、広場などがあり、年間の来場者は30万人、経済効果は15億円を見込む。 市はオープンに合わせ、駅から続く緑地にタイルを敷き、ベンチなども配置。キッチンカーも入れるようにする。今春からは大物公園リニューアルも本格化し、尼崎城や前ユニチカ記念館への動線になる大物川緑地の活用法は地元住民や小中高生も交えてワークショップを重ねる。 「地域の高齢化は深刻。緑地の遊具や舗装は老朽化し、人けがなかった」と議論に関わる尼崎小田高校の難波滋教諭(58)。だが、2軍球場移転が決まってから新築一戸建てや子育て世代が少しずつ増えているといい、「外から来た人も住んでいる人も、多世代が楽しめる遊歩道になれば」と期待を込める。 一方の中央公園は1998年以来、約30年ぶりのリニューアル。市の調査では、これまで利用者の公園滞在時間は15分未満が大半で、待ち合わせや電車待ち、ゆっくりとくつろげる「滞在型」の公園を目指す。尼崎城は2025年度、展示を再編し、人気の火縄銃や剣術、なりきりなど「体験コンテンツ」を強化する方針。尼崎中央、三和本通商店街や杭瀬商店街でも安くておいしい「食」や「昭和な雰囲気」「アート」など尼崎にしかない「コト・トキ」の価値を創造し、周遊につなげようと官民挙げた取り組みが続く。 「旧かんなみ新地の解体や暴力団事務所ゼロで、阪神沿線の尼崎のまちのイメージは劇的に変わった」と市の担当者。駅近ながらコインパーキングなど低未利用地の多さが課題だったが、不動産業者の関心も高まっているといい、「新球場と中央公園が完成すれば、もっと変わっていく。イベントはもちろん、イベントがなくても、楽しく心地よく過ごせる場所にすることで、まち全体の魅力をかさ上げしていきたい」と話している。