”怖がり保護犬”が動物行動学のプロの家に。3日間の玄関での籠城後に見せた劇的な変化
里親希望者との面会は
20代のご夫婦で、奥さんは小さい頃に、保護犬を飼っていたといいます。その子がアロイにそっくりで、しかも怖がりだったそう(笑)。 夫は犬を飼うのは初めてといいますが、ふたりともうちに面会に来たときは、とてもいい感じ。いきなり距離を詰めたり、無理に触ろうとすることなく、静かに座って、アロイに気づかれないよう、横目で見ていました。 時間をかけて信頼を得るやり方を、ちゃんとわかっているおふたりです。 在宅で仕事をしているので、時間がかかっても、ちょっとずつ慣れてくれればいいとおっしゃっていました。 坂上さんも、このおふたりなら大丈夫でしょう、とおっしゃり、アロイは10月7日に引き取られることになりました。 9月14日にうちに来たアロイ。約3週間の生活でしたが、普通の音ではもう、驚かなくなったし、エサもきちんと食べるようになりました。散歩も海辺で息子と走り回れるほど、楽しめるようになりました。 最後の日、アロイは玄関を出るところからひとりで歩き、散歩に行きました。 おしっこも、とてもいいウンチもして、帰ったらすぐにごはん。ドライフードも半分以上食べるようになりました。 ワタデキのスタッフが引き取りに来てくれたので、アロイとアロイが使っていた敷物を一緒に渡しました。 ご夫婦の暮らす新しい住まいに着いたアロイは、すぐに草むらでおしっことうんちをして、家にもすんなりと入り、うちで使っていたベッドマットをひいてあげると、すぐそこに丸まったといいます。 ごはんも初日から食べられ、排せつもできて、自分の居場所もできて……。もう安心です。 ひとつだけ、里親さんに伝言してもらいました。「留守番もできるように仕上がっているので、できるだけそれを、維持してやってください」 「在宅ワークでも、1日3時間くらいは別室で過ごすなど、基本的に留守番風の時間を作るようにしておいてください。そうやって慣らしておくことで、本当の留守番の時に、落ち着いて寝て過ごせるようになります」と。 さよならは苦手ですが、坂上さんから次の犬の相談が入ったので、気持ちを切り替えて受け入れ準備を始めようと思います。 ◇今回はるか先生が「預かりさん」を体験したのは、動物支援団体「ワタシニデキルコト」で保護した犬です。ワタシニデキルコトでは、里親さん、預かりさんを募集しています。 今回預かり経験をしたはるか先生は、「新しいおうちで、必要なしつけができるように、とにかく可愛がって、保護犬が積極的な前向きな気持ちになるような生活をさせてあげてもらえたら! と思います。 いろいろなコマンドを教えるより『おいで』『おすわり』『まて』『ふせ』の4つをきちんとできる子にしてくれたら100点満点です」と言っていました。 預かりさんに関しては飼育経験は必須となります。特に獣医さんと、ペットロスの経験がある飼い主さんには、ぜひお願いしたいのだそうです。 「飼っていた犬に申し訳ない、と思われる方も多いけど、これまで動物を愛し、最後まで看取った人たちは、動物たちにとってとても価値のある方々。とにかく短期間でもかわいがって、次の飼い主さんに繋ぐお手伝いをお願いできたら、と願います」(高倉はるか)。
高倉 はるか(獣医師・ペットライフアドバイザー)