”怖がり保護犬”が動物行動学のプロの家に。3日間の玄関での籠城後に見せた劇的な変化
次に何が起こるかわかるように
アロイは社会経験が極端に少ないため、初めて聞く音でパニックに陥ってしまいます。 洗濯物のハンガーを落とすだけで逃げるし、網戸をガシャンと閉める音にも驚く。 慣れさせるために、ハンガーの匂いを嗅がせる(ハンガーとは何者かを確認させる)、網戸を閉めるたびに小さなおやつをあげることを繰り返しました。 ハンガーは怖いものではないこと、網戸の閉める音は嬉しい(おやつがもらえるから)ことなのだと、繰り返し体験させて、覚えさせるのです。 こうした安全確認を繰り返すことで、「ハンガーが落ちただけ」「網戸の音」などの認識を広げ、落ち着いて生活できるようになっていきます。 アロイはすでに3歳を超えていましたが、犬にこうしたことを教えるなら、最も感受性豊かな生後3~5ヵ月くらいの社会化期が一番です。母犬との関係を密に取りながら、兄弟と遊ぶことで社会性を身につけ、さらに様々なものを見たり、聞いたり、会ったりすることで、安全なものと危険なものを理解します。人間でいうと、小学校3,4年生くらいでしょうか。 大きな音を出す工事現場や、様々な動物がいる動物病院など、刺激のあるところにあえて連れて行き、いろんな経験をさせると、おびえたり、パニックを起こしづらくなります。 生後7か月頃から、人間でいう第二次成長期の状態に入り、こだわりが強くなったり、自分の好きなものに執着するようになるので、その前に、何が「当たり前」で、何が「ダメ」なのかを、教えるといいと思います。 音に少しずつ慣れてくると、行動範囲も広がってきます。散歩も積極的ではありませんが、しり込みしなくなりました。 散歩に行くときは「お散歩に行くよ」と声をかけながら、リードをつけて散歩に出る。散歩から戻ったら足を拭く。それからご飯。一連の行動は、できるだけルーティンにして、アロイが次になにが起こるかが予想できるようにしてあげると、落ち着いて行動ができるようになります。毎回同じように声掛けしてあげると、さらにいいですね。 息子とも仲良くなって、ゲームをやっているそばに丸くなっていたり、一緒に海岸を走るようになった頃、坂上さんから「里親希望者が出たよ」と連絡をもらいました。