プロ野球、復活できる人、まだ未知数な人。
3月25日のプロ野球開幕を前にオープン戦が佳境に入っているが、気になるのは新戦力と、怪我や不振からの復活を目指す選手たちの調整だ。右肩手術で1年投げていないソフトバンクの松坂大輔(35)も、この16日には、1軍のオープン戦で登板予定で、昨シーズンの序盤にレンジャーズをリリースとなり、帰国後、独立リーグの高知で投げていた阪神の藤川球児(35)もハイペースで実戦を重ね、6日の巨人戦では4回を3安打1失点にまとめた。すでに中日との開幕第3戦(3月27日)の先発も内定している。 昨季3勝と低迷していた横浜DeNAの山口俊(28)は、早々とラミレス監督から開幕投手に指名され、その責任感からか、キャンプでは200球以上を投げ込む日を複数つくり、新球「ワンシーム」に取り組むなど、3日のヤクルト戦では、5回を投げ5安打、5奪三振、無失点。「まだ開幕は決定だとは思っていない」と謙虚な姿勢でワンランク上のピッチングを見せつけている。 その一方で巨人の内海哲也(33)は、藤川と投げ合ったゲームで4回、10安打6失点と炎上。若手にフルスイングされるなどボールにキレは見られなかった。中日の吉見一起(31)も3月に入ってようやくシート打撃登板というスロー調整。昨季、一度もマウンドに立てなかった岩瀬仁紀(41)は飛ばしていたが、インフルエンザでペースダウン。ブルペンでも往年のスピードとキレは見られない。岩瀬と共にハイペースだった浅尾拓也(31)は肩を痛めて開幕は絶望となった。 早くも明暗が分かれつつあるが、復活を目指す選手の中で期待度ナンバーワンは誰なのか。元千葉ロッテの里崎智也氏は、メジャーから5年ぶりに凱旋帰国したソフトバンクの左腕、和田毅(35)の名を挙げる。 「阪神の藤川は、先発という新しい領域に挑戦するわけですから、まだ未知数ですよね。豪腕ストッパーが先発に転向して成功した例はほとんどないわけですから。ソフトの松坂や中日の吉見、岩瀬も、まだどれだけ投げられるのか、体の状態は、どれだけ回復しているのかがわかりません。評価のしようがないと言った方がいいですね。千葉ロッテ時代の元同僚で気になるヤクルトの成瀬も、FA初年度の昨年は結果を残せませんでした。復活するためにはストレートのスピードとキレがどこまで戻せるか。せめて平均で135kmはコンスタントに投げれるようでないと厳しいでしょう。先行きの不透明な選手が多い中、復活の道筋がハッキリと見えているのは、ソフトバンクの和田だと思います。非常にフォームバランスがいい。ボールもキレてます。元々は速いボールで勝負するタイプでなかったので、メジャーに渡るソフトバンク時代と、そうスタイルが変わらない。怪我さえなければ、2桁は勝つんじゃないでしょうか」 和田は、現在、対外試合無失点を更新中。6日の楽天戦でも、4回1安打無失点で、技術の高さを見せつけ調子をキープしていた。 12球団のキャンプをすべて回ってきた評論家の池田親興氏も、イチオシは和田だ。