プロ野球、復活できる人、まだ未知数な人。
「復活にかける選手がたくさんいて、彼らが暗い話題が先行してしまっているプロ野球を盛り上げてくれそうだが、イチオシなると和田だ。ソフトバンクで、2桁勝利していた昔のまま。肘の手術の影響は感じないし、さらにカット、ツーシームという新しいボールを覚えて投球の幅を広げたというプラスアルファがある。ストライクゾーンで勝負し、球数を減らす省エネピッチングをテストしていて、自分が投げるときは、中継ぎ、抑えを休ませるんだ、完投をするんだという自覚が見える。現在、激しいローテー争いにあるソフトバンクというチームの中で、私は、和田が3番手の位置にいると思う。松坂は、模索しているスタイルチェンジが成功するのか。阪神の藤川も、そう言われるほど悪くはないコントロールと、投球術で、先発転向にどんな答えを出すのか、と、期待値が先行しているが、和田には計算が立つ」 和田は、メジャーでトミー・ジョン手術を受けるなど苦しんだが、体の状態に不安はなく、メジャーで覚えてきたカット、ツーシームを駆使してオープン戦から球数が非常に少ないのが特徴。 「年も年ですから(笑)。アメリカでも少ない球数で投げることが重要視されている。球数がすくなければ完投機会が増えてくる」と、本人も、その狙いを語っている。 池田氏が予想するように現段階では、摂津正(33)、バンデンハーク(30)、武田翔太(22)の次にくるのが和田の名前。下手すれば、開幕投手に内定している摂津より安定性は上だ。里崎氏が予想する「2桁勝利」への期待感が高まっている。
また昨季、優勝候補と言われながらもBクラスに沈んだオリックスで、故障もあって不振に泣いた中島宏之(33)、糸井嘉男(34)の2人も目の色を変えている。新任の高橋慶彦打撃コーチも「心配ない。中島もコンディションさえ万全なら去年から結果は出せていた。糸井は、野球に取り組む姿勢が素晴らしいし、不安要素はない」と太鼓判を押している。中島は、体調不良で出遅れた安達了一(28)に代わってショートのポジションでの再起を誓い、糸井は「三塁打を量産したい」とユニークな目標を立てているという。 内野手では、阪神の西岡剛(31)もオープン戦で打率・375と好調で上本博紀(29)との二塁手争いに決着をつけた模様。金本新監督の鋭い監視の目があると、なかなかサボれないようで、結果的に練習量が増えて、いいキャンプを送った。この2年、怪我と故障で低迷したが、乗せられ意気に感じるとハッスルするタイプ。そのあたりのコントロールが絶妙の金本監督に背中を押されている。 他にも、肘の手術で2軍暮らしが続き広島を自由契約になって楽天にテストで拾われたかつてのカープの4番、栗原健太(34)も、待望の1号こそ、飛び出していないが悲壮な決意でキャンプ、オープン戦に臨んでいる。オリックスから戦力外となってヤクルトに移籍した坂口智隆(31)も、ここ数年、故障続きで結果を残せなかった一人。今季は、新天地でキャンプから万全。5年前には、パの年間、最多安打も放った球界屈指のテクニシャンだ。怪我や故障さえなければ、その勝負強さは買い。真中監督は優勝した昨季も、上田剛史(27)、比屋根渉(28)が日替わりで務め固定できなかった「1番・センター」のポジションを開幕から坂口に任せることを明言している。 昨季、セ・リーグのカムバック賞には、度重なる肘の手術を乗り越えて、6勝を挙げて復活、ヤクルトの優勝に高見した館山昌平(34)が選ばれたが、パ・リーグは該当者なしだった。ちなみに内規の厳しいパでは、2001年の故・盛田幸妃(近鉄)以来、カムバック賞の該当者はいないが、今シーズン、その復活の証を手にするのは誰になるのだろうか。