「孫の運動会で休みます」 リンガーハットが「育孫休暇」を導入、きっかけは社員の一言
長崎ちゃんぽんで知られるリンガーハットが、5月1日からユニークな休暇制度「育孫休暇」を導入している。その名の通り、孫に関わることで休暇を取得できる制度だ。導入の経緯について、同社広報担当者に聞いた。 【画像】リンガーハットの「育孫休暇」、きっかけは? 育孫制度は、小学生以下の孫を持つ社員が対象。運動会や出産時の預かりなど、孫に関わる事柄が取得条件だ。取得の際に審査は特になく、総務人事チームへ所定の様式で届け出をすることで取得できるという。 休暇日数は年6日間(1カ月の使用上限は3日間)で、失効した有給休暇を積立し、病気や育児に使える積立有給制度を活用している。積立有給を保有していない場合は、年次有給休暇を使用する。 育孫休暇を導入するきっかけとなったのが、リンガーハットが毎週火曜日に取締役同席のもと開催している「ダイバーシティみらい座談会」だ。この座談会は従業員同士が意見交換するもの。その中で、ある社員から「自分も働きながら、娘の子育てのサポートができれば」という意見が出たという。 2024年2月に総務省統計局が発表した「労働力調査」によると、2023年の共働き世帯数は1278万世帯だった。こうした共働き世代が子育てをする上で、祖父母世代の手助けは欠かせない。その一方で、祖父母世代も定年延長や定年後の再雇用など、働き方が多様化している。「こうした現代の社会状況を鑑み、社員が安心して働ける環境を作るために育孫制度の導入に至りました」(同社広報担当者)。3月のみらい座談会で意見が出てから急ピッチで制度を整え、5月1日から導入した。 リンガーハットで働く社員のうち、祖父母世代(55歳以上)は16%とのこと。そのうち、現在までに3人が、孫の行事や出産時の預かりなどで育孫休暇を取得した。制度導入にあたり、人員配置や勤務シフトの調整は行わず、社内への周知や社長からのメッセージを配信し、周囲の理解を深め取りやすい環境作りをしているという。同社広報担当者は「今後はもっと制度を活用できるよう、利用者の感想紹介などで制度の認知度を高めるなど、利用しやすい環境作りをしていきたい」とコメントした。
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