3と4と5…中学で覚えた「ピタゴラス数」、じつは無限にある…なんと、「素数」がからむと一気に「数学史上〈超〉がつく超難題」になった
三平方の定理とピタゴラス数
三平方の定理は,「2乗した数」が使われる有名な定理である。その意味で,「累乗した数」の感覚から直結したテーマでもある。 三平方の定理をあらためて確認すると,「直角三角形の斜辺の長さの2乗は,他の2辺の長さの2乗の和である」というものである。 「2つの2乗した数の和(平方和)」を示しているこの等式が成り立つ最も有名な自然数の組は,a=3, b=4, c=5であり,3²+4²=5²が成立する。これらの数の組を「ピタゴラス数」という。 ピタゴラス数を自然数倍(k倍)した数でも,等式が成立する。3, 4, 5を2倍した6, 8, 10でも6²+8²=10²が成り立つ。したがって,ピタゴラス数は無限に存在することがわかる。 そこで,3つの数の公約数が1である数を「既約ピタゴラス数」という。既約ピタゴラス数は,どのように求められるかが知られている。 既約ピタゴラス数は次の形に限る。ここで,m>n, mとnの最大公約数は1で,mとnの一方は奇数,もう一方は偶数である。 x=m²-n², y=2mn, z=m²+n² 実際に、mとn に自然数を入れて確かめてみよう。 具体的にmとnにさまざまな自然数を入れると,次の表が得られる。 30年ほど前に刊行された『ピタゴラスの三角形』(B・シェルピンスキー著,銀林浩訳,東京図書,1993)には,次の問題が未解決問題であると書かれている。 【未解決問題】斜辺とそれ以外の小さい辺の一方が素数であるような直角三角形は無限に存在するか。 (3, 4, 5),(5, 12, 13),(11, 60, 61)が上記の命題の条件を満たす数である。(p²+1)/2が素数である素数pが無限に存在することを示せれば,未解決問題は「存在する」と解決する。 *数学センスを磨くポイント* ピタゴラス数についてはよくわかっているが,素数と関連づけると未解決問題が残っている。 さて、続いては、座標面上においた直角三角形を使って、三平方の定理の、ちょっと面白い性質について、確かめてみよう。 中学数学で磨く数学センス 数と図形に強くなる新しい勉強法
花木 良(岐阜大学教育学部准教授)