石破茂首相、日朝連絡事務所設置案「維持か」 保守党・島田洋一氏、政府答弁書に懸念
政府は22日、北朝鮮拉致問題への対応を巡り、日朝間に連絡事務所を設置するとの石破茂首相の持論について「覆す考えがあるか」などと問われた質問主意書に対し、「今後の対応に支障をきたす恐れがあることから回答は差し控える」とする答弁書を閣議決定した。 【写真】石破首相、座ったまま握手…首脳会議での映像が物議 日本保守党の島田洋一衆院議員が、石破政権の拉致問題解決に向けた基本姿勢を主意書で質問した。①拉致被害者家族会が反対している、東京と平壌の相互への連絡事務所設置案について、覆す考えはあるか②石破首相が(首相就任前に)家族会などと一体で活動している超党派の「拉致議連」から、北朝鮮に融和的とされる「日朝議連」へと活動の軸足を移した理由③「日本はかつて北朝鮮を侵略して甚大な被害をもたらしたのだから、その事実を重く背負わないといけない」などとした日朝議連会長(衛藤征士郎元衆院副議長)の歴史認識を首相も共有するのかーなどを尋ねた。 ■「政府としてお答えする立場にない」連発 22日の答弁書では、①に関し、「わが国の一貫した方針は、日朝平壌宣言に基づき、拉致・核・ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して日朝国交正常化の実現を目指すというもの」とした上で、「解決に向けて何が最も効果的かという観点から、北朝鮮への対応を不断に検討していく。その点以外のお尋ねについては、今後の対応に支障をきたす恐れがあることから、回答は差し控えたい」とした。 また、②では、「石破首相個人の政治活動に関するものであると考えられることから、政府としてお答えする立場にない」。③についても、当該歴史認識は衛藤氏個人の見解を前提としたものであり、「政府としてお答えする立場にない」とした。 連絡事務所案を巡っては、拉致被害者の居場所などに関する情報共有を目的としている一方、被害者家族会などは「北朝鮮は被害者を厳重な管理下に置いており、今さら所在情報を共有する仕組みを構築する必要はない。相手の時間稼ぎに乗るだけだ」などとして反対している。 主意書を提出した島田氏は産経新聞の取材に、「首相は事務所設置案を捨てておらず、維持していると理解した。拉致問題への取り組み姿勢に関し、疑念や懸念を深めざるを得ない」と語った。