がんばって飲む人ほど健康状態がアウトな絶望的事実…「サプリメントを飲まないほうがいい」4つの理由
■医薬品レベルの工場は5%程度しかない 厚生労働省の「国民生活基礎調査(2019年)」によると、日本人男性の21.7%、女性の28.3%が、サプリメントや健康食品を利用しているそうです。この調査にはサプリメントを摂取する機会が少ないと思われる20歳未満も含まれているので、20歳以上だけに限ればもっと割合は多いはずです。50代の女性に関しては4割近くが利用しているという結果が出ています。 【写真を見る】甚大な健康被害をもたらした小林製薬のサプリメント「紅麹コレステヘルプ」 私は医療機関向けサプリメントを製造する会社の代表を務めています。そんな立場の人間ではありますが、私の一貫したスタンスは「基本的にはサプリメントは飲まないほうがいい」というものです。 実際に、栄養指導に熱心な医師・歯科医師の先生方からは「自己判断でがんばってサプリメントを摂っている人ほど、健康状態は良くない」という話をお聞きします。自己流でサプリメントを摂取して健康状態を良くしようとするのは大きな間違いなのです。 この飽食の時代にもかかわらず、多くの現代人は「栄養失調」に陥っています。その理由のひとつは加工食品の増加です。忙しい日々を送っているとつい手を伸ばしがちですが、摂取できる栄養素は食材から調理した食事よりもずっと少ないのです。 さまざまな理由で理想的な食生活を実践するのが難しい場合や急を要する場合に、効率的に栄養バランスを正すのがサプリメントの本来の役割です。ですが、その役割を果たせそうにないサプリメントが、この世にはあふれかえっているのが現実です。
東京都が行った「令和5年度健康食品試買調査」によれば、健康食品売り場などで購入した製品では44品目中26品目に、またインターネットなどの通信販売で購入した製品では81品目中79品目に、不適正な表示・広告が見られたそうです。 これは、この年に限った話ではありません。この調査は近年、毎年行われていますが、毎回このような高い割合で製品表示や広告に法令違反または違反の疑いが見られるのです。 この状況はサプリメントを製造する工場の状況から見えてきます。正確な数字を把握することはできないですが、私が複数の業界関係者に尋ねたところによると、現在、日本国内にサプリメントを製造している工場は、4000~5000カ所ほどあるようです。このうち、「GMP」という、医薬品レベルに準じた管理基準でサプリメントを製造している工場は、5%程度にあたる「177社206工場」(20年時点)とかなり少ない。 記憶に新しいところでは、小林製薬の紅麹を含むサプリメントを摂取した人が腎障害などの健康被害を受けて、死亡に至る事例まで報告され、大きな社会問題になりました。この一連の騒動では、「プベルル酸」という青カビから発生することがある物質が、健康被害が起きた製品のロットで検出されました。ただ、原因と推測されているプベルル酸が一体どこから混入したのか経路はわかっていないようです。 GMPに対応している工場はもちろん、対応していない工場の中にも製造過程がしっかりしているところはあるはずです。しかし、これだけ基準を遵守している割合が少ない現実を見ると、信頼できるサプリメントを選ぶのは、やはり難しいのではないでしょうか。 ■健康になっているつもりが添加物を摂取しているだけ 以前、サプリメント事業に新規参入したいという大手企業との打ち合わせでこんなことを聞きました。その企業は市販のサプリメントをいくつか買い、パッケージに記載されている通りの栄養素が含まれているかどうかと、そのサプリメントが胃の中に入ったときに溶けて崩れるかどうか(崩壊試験)を調べたそうです。 結果は、記載通りに栄養素が入っているほうが珍しく、多くが記載の値以下だったそうです。また、崩壊試験の結果はというと、溶けないものが多かったそうです。 独立行政法人国民生活センターが発表した調査(令和元年)によると、錠剤・カプセル状の健康食品の崩壊性を確かめるテストを行ったところ、100種類のサプリメントのうち、42種類は規定の時間内に崩壊しなかったとのこと。 つまり、半数近いサプリメントはせっかく飲んでも、きちんと胃で溶けず、吸収されない可能性があるということです。栄養素がパッケージの記載通りに含まれていないうえに、その「少ない栄養素」さえも吸収されないというのでは、お話になりません。 そういったサプリメントは、固めるための添加物を大量に入れて、しっかり固めていると推測されます。この「添加物」に関しても、私が「基本的にはサプリメントは飲まないほうがいい」と考える理由のひとつです。