靖国神社での「放尿男」はもともと中国の「超有名インフルエンサー」、その後「本国でも猛バッシング」のお騒がせマンだった
親たちは激怒
しかし、これが中産階級たちの怒りを呼び起こした。前述したように彼ら自身にとって教育は自分が今の生活の源であり、我が子にもまたそれを手に入れてほしいと強く思っている。だが、競争社会の中国で一瞬でも手を抜くとその競争からはじき出されてしまうという不安感が非常に強い。 海鮮市場の回とは違い、その鉄頭の突撃はそんな親たちの思いを潰し、逆に理不尽な政策を強行する政府の権力におもねった、ただの「頭でっかち」な暴力だと批判された。 そして彼へのアンチ活動が始まった。鉄頭が出演したコマースライブでは、大量の人たちが「なぜ鉄頭を起用する? 我われはやつのせいで子供を補習に通わせることができなくなり、高い費用を払って家庭教師を雇うしかなくなった」と怒りの書き込みをした。 さらには、コマースライブ業界が競争激化で「配送料無料サービス」を謳う業者が増えていることを逆手に取って、「たくさん購入してやる。そしてそれが発送されたらすぐにそれをキャンセルしてやる」と、報復を呼びかける声も起こった。そうして鉄頭人気に目をつけたコマース業界が彼を二度と起用しないように仕向けたのだ。 あまりの不評ぶりにライブコマースの直売は約1時間で切り上げられ、売上はわずか7万元(約140万円)ほどで終了。ホストの農産物企業は自社サイトで彼の起用を謝罪した。 さらに、彼への攻撃は続いた。「金儲けのためのネット活動ではない。正義のためだ」と言い続ける彼の過去が掘り起こしされ、その彼がかつて買春行為で逮捕されていたことなども暴露され、彼が「過去のことだ」と開き直るという場面も起きた。その結果、「社会に悪影響を与える」という批判が殺到、彼はネット上のほとんどのサービスから締め出され、姿を消したのだった。
半年ぶりに日本・靖国神社に登場
その彼が半年ぶりに中国人ネットユーザーたちの眼の前に姿を表したのが、靖国神社に放尿し、「Toilet」と書きつけて去っていく動画だった。 もちろん、そのことに喝采を浴びせる人たちや大手メディアも多かったものの、それこそ海外旅行をすでに日常の一環として受け入れている中流階級の人たちの評価は、「海外にまで出て、違法行為をして恥をさらし続けるなんて」と厳しいものだった。 その多くが、靖国神社の存在自体には不満の声を挙げつつも、「鉄頭を民族英雄などと呼ぶべきではない」と述べていた。「愛国も、靖国神社に抗議するのも良い。だが、公共の場で生殖器を露出するなんて褒められたことじゃない。それを中国を愛する行為だとは言わないでほしい。我われはそんな屈辱には耐えられない」という声もあった。 また、今では経済的にも社会的にも日本との関係は重要になり、日本で暮らす同胞も少なくないときに、鉄頭の「レベルの低い」騒ぎが多くの中国人の不便を引き起こすことを心配する意見もあちこちから上がっている。