2019年W杯“前哨戦”で日本がルーマニアに勝利した意味とは?
ラグビーの日本代表は、4年に1度のワールドカップ自国大会を2019年に控え10日、熊本・えがお健康スタジアムでルーマニア代表とのテストマッチを行い、33―21で白星を挙げた。終盤の機能不全に課題を残したが、昨秋着任のジェイミー・ジョセフヘッドコーチは、「6月のキャンペーンを始めるうえで勝てたのは大事」と振り返った。ルーマニア代表は、ワールドカップの予選プールで対戦する可能性の高いチームだ。 ワールドカップの予選プールの組み合わせは、すでに5月10日に行われ、日本は、プールAでアイルランド、スコットラウンドと同組になったが、残り2か国は今後の地区予選などで決まることになっている。 ルーマニア代表は、2018年に終わる欧州予選での1位通過が有力視され、陣営は「まだ決まっていない」と気を引き締めるが、1位通過すれば、本番の予選プールで日本代表と同組に入る。その意味で、今回の80分は、両者にとって貴重な体験だった。 通算戦績はそれまで4勝1敗も、パワープレーで苦しんできたルーマニア代表を相手に、日本代表はハイテンポを貫く。 例えば、0―6とビハインドを背負って迎えた前半12分である。 グラウンド中盤左で堀江翔太主将のタックルが相手の落球を誘うと、タッチラインの外へ転がったボールをスクラムハーフの田中史朗が素早く投入。逆側へ展開する。最後はウイングの山田章仁が、味方のキックしたボールへ追いつきとどめを刺した。直後のゴールキックもあり、7-6と勝ち越した。 さらに23分は、向こうの苦し紛れのキックを確保したところから結実させた。 背番号1、2、3、4、5、7のフォワード陣が中央での接点を連取し、次は外側のスペースでバックスと背番号6、8のフォワードが駆ける。この繰り返しで、敵陣22メートル線付近まで侵入する。最後はスタンドオフの小倉が相手の大男のハイタックルを誘い、自らペナルティーゴールを決める。13-6。もともと4点あったリードを、さらに広げた。 いずれの場面も、スクラムなどのセットプレーを起点としない「アンストラクチャー」の状態からの緻密なコンビネーション攻撃。現日本代表が看板とするスタイルだ。「やろうとしていることが(始動後の)約1週間で落とし込まれて、チームがひとつの方向を見られた」と小倉は笑う。