2019年W杯“前哨戦”で日本がルーマニアに勝利した意味とは?
プランが奏功するなか、24歳の小倉、さらにはフルバックで21歳の野口竜司といった身長170センチ台の若者が、ルーマニア代表の隙を突きまくった。いずれも強豪国相手の先発は初めての若手である、堀江や田中、前大会主将のリーチ マイケルといった主軸候補との共演で、確かな爪痕を残した。2年後へ向けた選手層拡大のための起用は、ポジティブな作用をもたらした。 スタジアムは最高気温29度、湿度50パーセントと蒸し暑かった。 対するリン・ハウエルズヘッドコーチ曰く、「湿気への慣れが日本代表の強みになっている。我々はこの湿気にやられ、前半20~30分はコミュニケーションすら取れなかった」。あくまで現時点で、という条件付きだが、日本代表はワールドカップで対戦しそうな国の倒し方を具現化できた格好か。2年後の本番で8強入りを狙うにあたり、貴重な成功体験を積んだ。 もちろん、この結果だけですべては語れまい。本番までは2年しかないとも、2年もあるとも取れる。ルーマニア代表のナンバーエイト、ミハイ・マコベイ主将が「日本代表から学んだのは、厳しい状況でどう挑むかと、スピードを持った相手にどう対処するかです」と向上を誓うなか、日本代表の堀江主将もこう断ずる。 「ワールドカップに入るとチームが変わる。相手も、僕たちも。それぐらいワールドカップって特別なので。いまからワールドカップにどうのこうのということは、考えていないです」 そもそも、勝った日本代表は課題も残していた。試合中盤まで33-9と主導権を握ったが、後半10分以降は「自分で首を絞めた」と堀江主将。連携の乱れた防御ラインの隙間をしばし攻略され、接点で反則を重ねては自陣に押し込まれた。 ペナルティーに伴う一時退場者も出し、状況をさらに悪化させた。32歳の田中が「フォワード、ここ!」と味方を鼓舞するも、15、25分と、ルーマニア代表の得意なモール、スクラムからトライを奪われた。 日本代表と連携を取るプロクラブのサンウルブズも、国際リーグのスーパーラグビーで同種の試合展開で泣いてきている。 思えば前回大会時までは、最後の最後まで走り、ぶつかり続けるコンタクトフィットネスが強みだった。いまは、状況が変わっているのか…。 そうした仮説に対し、前回のワールドカップ以来の代表復帰だったフランカーのリーチが慎重に応じた。 「うーん…。合流して1週間で、今日の相手はボールを持って走ることが少なかった。だから、まだ答えられないです。ニュージーランドなど(強豪)の相手とやって、もっと弱みがわかるかもしれない。ただ、いまのところ、フィットネスは問題ない」