「長谷川稔」出身の気鋭のパティシエによる新店が南青山にオープン! 極上のデセールコースが食通の心をつかむ
スイーツの道を究めようと思ったのは、修業先のマネジャーからパティシエになった方がいいんじゃないとアドバイスもらったそう。「私はお客様の喜ぶ顔が見たくてこの仕事をしているので、持ち帰りのケーキを作るよりもアシェット・デセールの道に進みたかったんです。
レストランで先輩方の仕事を見ながら、同世代のパティシエのユニット『sugar』にも参加させていただき、その繋がりで『長谷川 稔』グループを紹介いただきました。そのご縁もあって、長谷川さんが広尾に『薫 HIROO』をオープンされる際に働かせていただくことになったんです」
「甘いもの好き」以外の心もとろけさせる魅惑のデセールコースとは?
よほどの甘いもの好きでない限り「徹頭徹尾デザート」というのは、なかなか想像しがたい世界ではあるが、室岡さん自身も甘党ではないと言うように、コースはデセール尽くしでありながら、なんとも季節感にあふれた軽やかな仕立て。6品前後が供されるコースは22,000円でノンアルコールのペアリングも含まれる。
季節や使う食材によって値段が若干変動するのは、フルーツをふんだんに使うというのもひとつの理由。「日本の四季を目や舌で感じてもらえるように」構成されるコースは、室岡さんが生まれ育った静岡県の朝霧高原から届けられる「いでぼく」の牛乳を使ったデザートからスタートする。
1皿目を味わうと、そこに感じるのは生産者やその食材が育まれる“背景”への慈しみと感謝の心。そこに丁寧に自分のアイディアと繊細な技術を重ねる室岡さんの哲学が見える。
次の品への期待に胸を膨らませていると、ネーミングにも心惹かれる水カカオが登場。これは、長谷川稔シェフも絶賛したという室岡さん渾身の“スペシャリテ”でもある。「水のようにすーっと体に入っていくイメージです。エクアドル産のアリバカカオという希少品種のカカオを使い、かき氷の部分はコロンビア産のコーヒー豆をグラニテにしています」
口の中がさっぱりとリフレッシュされる茨城の小玉スイカを使ったデセールが。ココナッツのムースとスイカのジュレの組み合わせは、暑い夏にこそ冴える味わいだが、ペアリングの自家製すいかソーダと合わせると爽やかさが倍増。フルーツ使いを得意とする室岡さんらしく、スイカに合わせてすだちのジュレも加えるセンスにも脱帽。