追い込まれて取り乱す人と平常心な人の決定的違い…和田秀樹「キレそうなとき唱えると効果的な5文字の言葉」
どうすれば日常生活の中でネガティブな感情をコントロールできるのか。精神科医の和田秀樹さんは「自分は正しい、相手が100パーセント悪いと思う『決めつけ』や、大きな不幸が待ちかまえているという『思い込み』が入り込むと、人は一気に最悪の結論を出してしまう」という――。 【この記事の画像を見る】 ※本稿は、和田秀樹『感情的にならない本』(PHP文庫)の一部を再編集したものです。 ■小さなパニックを起こしやすいタイプ 職場にかぎらず、さまざまな人間関係の中でわたしたちがいちばん後悔するのは取り乱してしまったときです。 ◎ヒステリックな声を上げて相手をなじる……。 ◎どうしていいのかわからなくなって「もうダメ!」と泣きわめく……。 ◎緊張のあまりことばが出なくなったり、逆に支離滅裂なことを口走ってしまう……。 いわゆるパニックですね。 めったにないことですが、たいていの人には覚えがあると思います。自分の感情をまったくコントロールできなくなった状態です。 そういう経験をすると、あとで「みっともないところを見せてしまったなあ」と恥ずかしくなるのですが、感情的になりやすい人はじつは、本人も気がつかないうちに小さなパニックを起こしていることが案外、多いのです。 たとえばキレやすい人です。キレて怒り狂ったり暴れる人ではなく、なにもかも放り投げてしまうような人です。「じゃあ、好きにしてよ」と自分は降りてしまいます。 執念深くなるタイプもいます。 納得できないことがあると「どうしてなの?」「わたしのせいなの?」「じゃあ、だれのせいなの?」「ごまかさないでよ!」と、しつこく追及します。 大げさになるタイプもいます。 「わたしが気づかなかったらどうなったと思う?」「会社の信用はガタ落ちだよ」「結局、わたしの責任になるんだよ」「なにもかもアンタのせいじゃないの!」 上司にそんな調子で責められても、部下は途方に暮れます。 ■「感情的になりやすい」のは信頼を失う原因になる パニックというのは、決して特殊な状況ではありません。「パニック障害」は明らかな神経症ですが、わたしたちはだれでも小さなパニックを起こすことがあります。ついヒステリックになってしまう傾向のある人もいます。 けれどもそのたびに、周囲はうんざりします。「また始まった」と思うし、「この人、ちょっとのことで感情的になる」と軽蔑します。どんなに仕事ができても、この「感情的になりやすい」というのは信頼感を失う大きな原因になってきます。 本書(『感情的にならない本』)の前半の章で、わたしたちがつい感情的になってしまう理由について考えました。 「こうでなければならない」という思い込みや、白か黒かという決めつけ、イヤな感情にこだわり続ける内向きな気持ち、相手の悪感情をまともに受け止める態度など、さまざまな理由が浮かんできました。 ふだんから自分の感情を明るく保つ思考法があって、それを身につけることも大事だと説明しました。感情的になりやすい人ほど、ふだんの「感情コンデイション」が悪いからです。