イザベル・ユペールとケイト・ブランシェット/前編。石川三千花さんのイラスト&エッセイで深堀り
超然としてかっこいい大人の代表として誰もが思うイザベル・ユペールとケイト・ブランシェット。2人の輝きの秘密を、石川三千花さんのエッセイに出演作やファッションのピンナップも加え深めます。 【画像一覧を見る】
年を重ねて進化を続ける2人のすごさとは?
若くて活きのよいライジングスターがもてはやされるエンタテインメントの業界で、独自の才能を発揮し続けて、年を重ねてもなお進化を止めないイザベル・ユペールとケイト・ブランシェット。 両者には、信頼に値する確かな演技力や、筋の通った自身の考えを発信する知性ばかりではなく、ファッションアイコンになるほどの美しさを兼ね備えているところなど共通点が多い。また、このSNSが幅をきかす現代において、私生活を売りものにせず、一個人としての生活を大切に過ごしている様子には、好感を抱かずにはいられない。 自分の仕事に誇りを持ってチャレンジし続けるプロ意識。成熟した大人の女性としての魅力。彼女たちが称賛される存在なのは明白だが、その素敵の素を探ってみたい!
コンスタントでかつアグレッシブな取組みに感嘆。
映画を観るとき、たとえば、好きな監督作だからとかロマコメが観たいからなど、さまざまな理由があるけれど、イザベルやケイトが出ている作品なら観てみたい。間違いない、という信頼感がある。 2人ともにキャリアのスタートは舞台女優。映画デビュー後、イザベルはフランスのアカデミー賞といえるセザール賞に16回ノミネートで史上最多記録を更新中(2回受賞)。カンヌ、ヴェネチア、ベルリンの国際映画祭での複数受賞の他、2017年『エル ELLE』でアカデミー賞主演女優賞にノミネート。ゴールデングローブ賞(ドラマ部門)では主演女優賞を獲得した。ハリウッドのスター女優なら嫌がるような倒錯した性的嗜好を持つ女や、レイプ犯と関係を持つ女の役を彼女は淡々と、しかし強烈な印象を残す演技で、映画史にそのキャラクター像を刻んでゆくのだ。 ケイトもまたアカデミー賞ノミネートの常連で、すでに2個のオスカー像を獲得。演技の幅の広さは歴史物からアメコミのキャラクターまで、ときには性別を超えて男性の役までこなし、次なるメリル・ストリープに確定! 悪役だろうとなんだろうと、恐れなく役柄をリアルに生きる姿勢は名監督たちに愛されて、まさに役者の鑑だ。