森島、香川、清武、柿谷と継承するセレッソ大阪のエースナンバー「8番」は、まだ凍結
清武と柿谷が8番を背負う前につけた「13」番を託されていることからも、南野が次代を担う存在であることに疑いの余地はない。しかしながら、全員がワールドカップの舞台に立ったこれまでの4人と同様に、南野も自らの力で道を切り拓かなければならない。柿谷が去ったいま今シーズンならば、開幕前は優勝候補の一角に挙げられながら6試合連続で白星をつかめず、J2降格圏の16位のヴァンフォーレ甲府と勝ち点で並び、得失点差でかろうじて上回っている苦況からはい上がる原動力にならなければならない。 ホームに詰めかけたファンやサポーターから激しいブーイングや厳しい野次を浴びせられたサガン戦後に、あえて南野に聞いてみた。次は自分が8番を背負う思いはあるのかと。「いまはないです。自分の結果を出すことに……いまはないです」。 南野自身、柿谷のファンを公言してはばからない。「ずっと曜一朗君の背中を追いかけてきた」と明かしたこともあるし、スイスから届けられるプレーを楽しみにしている。それでも、現時点の数字では胸を張って後継者になるとは言えなかったのだろう。あえて二度も口にした「いま」という言葉から、セレッソの背番号「8」だけが持つ重さと歴史があらためて伝わってきた。 (文責・藤江直人/スポーツライター)