岩隈の移籍条件は年俸より複数年?!
早期決着が予想された岩隈久志(34)とマリナーズの再契約交渉だが、このところ膠着状態が続く。マリナーズはすでに正式なオファーを提示したものの、岩隈側が難色を示しているーーというより、戸惑っているように映る。 当然だろう。マリナーズのオファーはおそらく2年。金額より、年数を重視する岩隈側の希望に反し、しかもマリナーズのオファーは、公式、非公式含めて、春から2年のまま変わっていない。キャンプが始まると、再契約交渉がスタート。2年契約に対し、岩隈側は首を縦に振らなかった。シーズン中盤に再オファー。やはり2年。シーズンが終わってから再び交渉が始まったものの、マリナーズの提示は2年で、途中で戦列を離れたとはいえ、最終的には9勝をマークするなど結果を残したことへの評価はなかった。 おそらく、岩隈側の希望は4年。少しでも長く、安定した環境でプレイしたいという思いがある。 ただ、この2年の差は、小さくない。契約3年目のシーズンの4月、岩隈は37歳となる。それこそマリナーズが長期契約をためらう大きな要因だ。1~2年は変わらず、いいピッチングをしてくれるかもしれない。しかし、いずれは力が衰える。3年、4年と長期になればなるほど、そのリスクが高まるーー。 ジェリー・ディポトGM(ゼネラルマネージャー)は、「スピードで勝負して来た投手は、年を重ねるにつれて衰えが顕著になるが、岩隈は制球力と球の切れで勝負するタイプ。そういう投手は、年齢による衰えが出にくい」と話していたが、本心はそうではなかったと言うことか。いや、方針そのものはディポトがGMになる前から決まっており、コメントが彼の本心だとしても、覆すだけの力を持たないと言うことなのかもしれない。 年齢に関連して、漏れ聞いた中でマリナーズが懸念しているのは球速の低下。確かに今季、7月をピークに徐々に全体の球速が落ちている(表を参照)。10月は上がっているが、登板はわずか1回。サンプルとしては小さすぎるので排除するが、メジャーに移籍した2012年からも見ても、今季終盤はかつて86マイル(約138キロ)前後だったスプリットが、83マイル(約134キロ)台にまで落ちている。球速の低下が成績の低迷に直結するわけではないが、マリナーズとしてはこのデータを単なるシーズン終盤の疲れではなく、年齢による衰えではないかと、疑っているようだ。