岩隈の移籍条件は年俸より複数年?!
またここ2年は、それぞれ故障で戦列を離れている。昨年は、自主トレ中に右の中指を痛め、復帰が5月にずれ込んだ。今年は右の広背筋を痛め、4月下旬から、2ヶ月以上も離脱している。マリナーズとしては、そうした故障に対する不安も拭いきれず、長期契約に消極的なのかもしれない。 2年の評価に限れば、決して低い額ではないよう。しかし、38歳の岩隈が今と変わらない投球を続けている保証、怪我をしないという保証はないというわけだ。 至極まっとうな指摘だが、もちろん、一方の岩隈側としては、そうした否定的な見方を受け入れるわけにはいかず、岩隈自身、結果を残してきたという自負もある。4年間で“先発として”は24敗(46勝)しかしておらず、その敗戦の数は、この4年間(2012から2015)に600イニング以上を投げた先発投手の中では、ア・リーグで一番少ない。また、3.09という防御率も同条件ではア・リーグ4位だ。 そして、来年4月に35歳になることを考えれば、おそらくこれが最後の長期大型契約となる。2年契約の場合、再び結果を残してフリーエージェントとなっても、今度こそ、年齢を理由に買い叩かれかねない。ここが、勝負どころなのである。 このまま互いが譲らなければ、2010年のオフに、岩隈がポスティングでメジャー挑戦を目指しながら、落札したアスレチックスとの交渉が決裂した流れを辿る恐れもある。 仮に他球団が3~4年契約を提示した場合、マリナーズはどう出るのか。おそらく、岩隈側が3年に歩み寄る姿勢を見せるなら、妥協点が見つかる可能性が高い。逆に岩隈側が4年を譲らなければ、マリナーズは撤退か。そのためにクオリファインディング・オファーをして、保険をかけてある。 まだ11月。まだ、互いに相手の出方をうかがっている段階で、タイガースなど第3者が割って入ったときに初めて事態が動き始めるのかもしれないが、どちらかがというより、両者がある程度妥協しなければ決まるものも決まらないのかもしれない。 おそらく、ギャップを埋められるのは本人だけ。 代理人とチームで交渉している間はあくまでビジネスだ。岩隈は、「代理人に任せている」、「待つだけ」と話しているが、連絡を待つだけではなくもっと積極的に関わってもいい。自分の将来のことなのである。むしろそうすべきではないか。 膠着状態を脱することができるかどうか。最終的には、岩隈次第だ。 (文責・丹羽政善/米国在住スポーツライター)