「痔」は放っておいても自然治癒する? 受診の目安や治療法も医師が解説!
実際のところ、痔に悩む人はかなり多いようです。様子を見ていて、自然に治癒することはあるのでしょうか。また、どうなったら受診を考えるべきなのかも気になります。今回は、痔が自然治癒する可能性や、どうなったら病院に行くべきかについて、「平田肛門科医院」の平田先生に解説していただきました。 【イラスト解説】「大腸がん」かもしれない便の特徴 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
痔とは
編集部: 痔とはどんな疾患ですか? 平田先生: 痔は色々な肛門疾患の総称で、痔という病名はありません。 痔は、病態によって「痔核(じかく)」「裂肛(れっこう)」「痔瘻(じろう)」の3つに大きく分けられます。 編集部: それぞれについて、もう少し詳しく教えてください。 平田先生: 肛門周囲の静脈叢にうっ血が起こったり、肛門を構成する支持組織が弱くなったりすることで痔核が起こります。固い便が肛門から出るときに外側の肛門上皮が切れて裂けてしまうのが裂肛、肛門腺にうみがたまって瘻管という管ができて、そこからうみが出るのが痔瘻です。さらに痔核は、できる場所によって「内痔核」と「外痔核」に分けられます。「歯状線」という部位よりも内側にできた痔核を内痔核、外側にできた痔核を外痔核と言い、性質も異なります。内痔核は痛みがないことが多いのに対し、外痔核はほとんどのケースで激しい痛みを伴います。 編集部: 痔になる人は多いのですか? 平田先生: 痔は世界的に見てもポピュラーで、日本でも非常に身近な疾患の1つです。痔はむし歯に次いで日本人に多い病気の第2位を占めています。1988年の日本のある製薬会社のアンケート調査によると、約36%の人が「自分に痔の気がある」と答えており、これは日本人成人の3人に1人が痔に悩んでいることになります。自分が痔であることに気がついていない人も多く、ドイツの解剖学者の解剖データによると、成人の70%の人が痔核を持っていたという結果があります。また、外来患者のほとんど全てに肛門部の診察をおこなったところ、86%に痔核を認めたというアメリカの報告もあります。