「痔」は放っておいても自然治癒する? 受診の目安や治療法も医師が解説!
痔の治療法 放置しても治る?
編集部: 痔の治療法について教えてください。 平田先生: それぞれのタイプによって異なりますが、痔核や裂肛はほとんどの場合、生活習慣の改善と薬の服用で状態を改善することができます。痔核の場合、状態によってはいぼを切除・除去する処置をすることもあります。また、便秘や下痢が続いている場合はそれらに対する投薬も合わせておこないます。 編集部: 痔瘻の治療法はどうですか? 平田先生: 痔瘻の場合は、基本的に手術が必要になります。トンネルとなっている瘻管を切除したり開放したりする手術がおこなわれます。入院期間はそれぞれの病状によって異なりますが、最も重度と言われるⅢ型痔瘻でも2週間程度で済むケースがほとんどです。 編集部: 痔を放置して、自然治癒することはありますか? 平田先生: 残念ながら、ほとんどの場合は放置しておくとむしろ悪化してしまう可能性が高いと言えます。ただ、場合によっては自然治癒することもあります。「痔だと思っていたら、大腸がんだった」というケースもあるため、必ず肛門科を受診して、どのタイプの痔なのか診断をつけてもらい、生活指導を受けるなど早めに対処するようにしましょう。
痔になった際の受診の目安
編集部: 受診を考える目安を教えてください。 平田先生: 症状が出た、もしくは症状に気がついた時点で、早めに受診していただきたいです。出血などの症状は、少量の場合は気がつかないことも多く、気づいた時点でかなり進んでいる可能性もあるので、躊躇わずに受診してください。肛門ではなく腸の状態が悪くなっているケースもあり、早期であれば生活習慣を見直すだけで改善することも期待できます。 編集部: 市販薬で治すことはできますか? 平田先生: 効果がある場合もありますが、効き目が感じられない場合は服用をやめて医療機関を受診してください。また、効果があったとしても、ステロイドが含まれている市販薬の長期使用は避けてください。痔と言っても、それぞれの症状にあった薬があるので、やはり一度診察してもらった方が治るのも早いと思います。市販薬は、どうしても受診が難しいときなどの対症療法として考えておきましょう。 編集部: 最後に、読者へのメッセージをお願いします。 平田先生: 日本人は、肛門の症状が出てから受診するまで平均約7年というデータがあります。肛門科への受診はそれだけハードルが高いのだと思いますが、放置しても治ることはあまりありません。一度でも診察をして状態がわかれば、生活習慣の改善と飲み薬だけで治ることがほとんどです。恥ずかしさもあるかもしれませんが、プライバシーに配慮した医療機関も増えているので、症状があれば気楽に受診をしてください。